2010/04/30

Jan van son


アトリエを訪問。オランダでグラフィックを学んだ後、ロンドンのBanks and Milesで働き、1990年頃から独立してブリュッセルで自分の仕事を始めたそう。Banks and Milesといえば、ロンドンの地下鉄サインの書体New Johnstonでも有名だし、郵便局や電話局などのVIも手掛けている。グラフィックの王道で経験を積んできた人である。僕よりも20歳以上年配だが、非常に気さくな気持ちの良い人。忙しい仕事の合間で時間を作ってくれた。

1時間ほど過去の仕事を見せてもらいながら、書体についての基本的なことを教えてもらう。欧文書体の成り立ち、かたちの由来などを丁寧に説明してくれた。かたちにはそれぞれの時代の技術が関係しているし、デザイン自体にもそれらは影響をする。僕はちょうどマックが気軽にデザインの仕事で使えるようになった初めの世代だと思う。文字のデザインもfontに触れることが最初だった。モニターの前で文字を並べて、単純にかたちの好みで選んでデザインしていた。その頃は欧文はヘルベチカを多く使っていた。それから10年が経ち、様々な書体を使ってみたし、自分なりに勉強もした。今思うのは、デザインする上で、マックは僕には絶対に必要だが、そこから離れたところにある背景や歴史をもっと知ろうと思っている。そうでないと、見栄えはいいが、スタイルだけのデザインになる気がしている。表には見えないが、背景として存在する部分にデザインの本質はある。

イギリス、オランダ、スイス、ドイツ。グラフィックデザインのすばらしい国に囲まれている環境にいるうちに、もっとたくさんのことを知りたいと思う。またJanさんの事務所におじゃましようと思っている。僕はグラフィックデザイナーではないが、空白を見ていく感覚と、ボイドを空間としてみていく感覚は僕の中では同種のものなのだ。だからこそ僕が平面も扱っていけるのだと思う。デザインする上で平面と立体は異なる部分も多いが、近い部分も多くある。

2010/04/28

専門的?


展覧会の会場の構成と共にグラフィックデザインを担当した。ローランネイ展覧会Shaping forcesは、ベルギーで一番最初に実現した僕が関わった仕事だ。内容は専門的である。だが、巨大な模型(そういえば、もはや模型ではなく小さな橋といっていた人がいた)と写真を大きく扱うことで、子どもでも楽しめるように考えてデザインした。一般の人が多く訪れる美術館なので、見せ方には気を使ったつもりだ。

橋のデザイン、構造体のデザイン。構造エンジニアとしてどのようにかたちを導き出すのかという問いへの答え。ここにこの展覧会の主眼は置かれているので、確かに専門的な内容ではある。でも僕は、時に専門的に思われていることが専門家よりも一般の人にダイレクトにつながる回路があることを知っている。見て美しいと思うこと、魅力的だと感じることは説明がいらないし、先入観がない方がより直接的に感じ取ることが出来るからだ。

どの大きさで写真を見せるか、どの写真を選ぶか、より感覚的に伝わる展示素材はなにか、言葉の選び方、フレーズの選び方といった基本的なことをしっかり押さえた時、専門的な内容だと思われていたものが、急に間口が広く開かれるのだと信じている。(実はこれらの基本的なことが本当に難しいのだ。)

この展覧会は、グラフィック的な(玄人的な)配慮、構造もしくは建築的な内容の充実、直感で誰もが感じられる要素という、3つのレイヤーで捉えてデザインしている。

幸いグラフィック的な配慮はパーティーでグラフィックデザイナー、編集関係の方々に褒めていただけたし、建築的な内容に関しては専門の領域なので問題ないのでないかと思っている。後は直感で誰もが楽しめるかどうかという点がどうかである。これからいろいろな人の意見を聞いてみようと思う。

そういえば今週金曜日にはA+の紙面のレイアウトを手掛けるグラフィックデザイナーさんの事務所に、欧文書体の扱い方に関して話を聞きに行く予定。文字の組み方をどのように考えているかを話すのは本当に楽しい。後日ここにもその様子を書くつもりだ。



2010/04/25

週末

金曜日、ドリスバンノッテンのストックセールへいくためアントワープへ。電車で30分、気軽にこれる距離。会場は港湾部の倉庫。早く着きすぎたためまだ始まっていなかった。中心市街に戻ってモード美術館へ。今開催中の展示はブラックファッション。ファッションにおける黒の意味を探る展覧会。

これまでアントワープはもう4,5回訪れているが、港湾地区から中心部へのルートは今回が初めて。おもしろかったのが通りによって街の表情が異なっていたこと。18世紀ー19世紀初頭の石造りもしくはアールヌーボー調の装飾豊かな通りと20世紀の大量生産によってつくられた荒っぽい雰囲気の建物が並ぶ通りが入り交じっている。通るルートによって街の感じられ方が全く異なるのだ。アントワープの街の面白さはこういった部分にもあると思う。様々な要素が入り交じりながらも、新しいものへの関心が常に街の中で感じられる。もちろん規模から考えれば大都市ほどの情報量はないが、独特の雰囲気を持ったものがちらほらある。毎回訪ねるたびに少しずつだがおもしろい場所が見つかる。

モード美術館と街を散策しつつ、港湾地区へ戻る。ちょうどストックセールの会場は、新しいノイトリングの美術館の前だった。美術館は、この日オープニングだったようで関係者らしき人々がつめかけていた。ノイトリングの建築はオランダでたくさん見ていたが、やはりいい。この美術館も他の建築同様、建築としての存在感があり、どこかポップで身近に感じられる。わかりやすいのだ。最先端の新しさというのではないが、独特のボリューム感と色彩、そしてわかりやすいデザインが見ていて心地いい。この美術館の意匠も、アントワープということで手の形をした金物がファサードの大判タイルの装飾に使われている。わかりやすさと独特の形をしたボリュームによって、記憶にしっかりと残るし、瞬時にデザインが理解されるのだと思う。一般のオープニングはもう少し先のようだが、オープンしたら内部をみに行こうと思う。

ストックセールもいいものが見つかったが、何よりこの美術館が良かった。





2010/04/22

オープニング


とうとう展覧会のオープニング。ベルギーの建築家やデザイナーなど、たくさんの人が詰めかけていた。僕には、あまりどんな人が来ているのかわからなかったが、どうもこの国を代表する人たちが多く来ていた模様。開始は18時半だが、人が集まりだしたのは19時過ぎ。こういうパーティではだいたい予定時間の30分後くらいからぼちぼち始まる感じ。日本とはだいぶ時間感覚が異なる。

パーティの挨拶で僕も紹介してもらったので、ボスのスピーチ後に多くの人が話しかけてきてくれて、非常にいい機会だった。パーティ後に主催者と数名で夕食に行ったが、その際にA+のグラフィックデザイナーも同席していて、興味深い話がたくさん出来た。展示のレイアウトも気にいいってくれたよう。後日事務所を訪ねて欧米圏の文字の扱いについて話を聞く予定。

10ヶ月間かかったが、ようやく完成。明日は休暇を取って、月曜からまた新しい仕事へと入っていく。今回の仕事で編集者、デザイナー、建築家などベルギーのデザインシーンに関係する多くの人と知り合いになれたのは非常に大きいと思っている。6月にはA+の編集長ステファンの案内でゲントを訪れる予定。

展覧会の会場写真は、6月以降にここに載せる予定。


2010/04/18

ラーケン王宮 温室


休日。ベルギー王室の温室庭園を観に行く。これがなかなかすばらしい。天気も良くぽかぽか陽気の中、トラムで10分ほどで到着。この時期2週間ほどしか一般公開されない。
ヴィクトル・オルタの師アルフォンス・バラによる設計。19世紀のアールヌーボー建築。

薄いコバルトグリーンの光に包まれ、熱帯の植物に囲まれながらガラス温室の中を散策。所々にベンチも置かれ、とにかく心地いい空間。大小様々な温室を巡りながら、途中屋外の公園を経て、半地下の空間、そして最後に巨大な円形の温室へと導かれていく豊かなシークエンスを持っている。




この空間の心地よさは、ガラスを透過した薄いコバルトグリーンの光の状態と、それに照らされた植物によってつくり出されているのだと思う。まさしく空間とコンテンツという2つが絶妙のバランスで絡み合っているのだ。19世紀の建築に何か大きなヒントを感じた。おすすめの場所である。





2010/04/16

施工

今日は展示の施工。月曜、火曜と続いて行って水曜日にオープニングになる。仕事の進行は相変わらずゆっくり。日本だと考えられないほどのんびりしている。僕の感覚ではこのペースだと何か間違いが起きるともう修正はできない。複雑なことは何もしていないので問題なく終わると思うが、しっかり仕事の開始と終了、そして休憩はきちんと時間通りにとる。日本だと一日で終わってしまう作業が、ここだと3日はかかる。クオリティはというと。。。。

とはいえ、展覧会のもっとも大きな目的は内容をしっかり伝えて知ってもらうことにあると僕は思う。とすると僕は施工に対して少々細かすぎる要求をしているようにも思う。プロの写真も使っているが、アーティスティックというよりはしっかり撮っているという感じの写真だし、特殊なドローイングも今回はない。とするならば、印刷のクオリティや施工の精度よりも、むしろ配置とスケール感、プロポーションに気をつければよいのだと思う。今日はそんなことを考えながら施工に指示を出していた。一般の人たちには、僕が気にするような写真のクオリティよりも、展示室の中での配置や大きさのバランスといった身体感覚で直接感じられる要素の方が重要なのだと思う。一般の人から見れば、写真はもう十分にクオリティを持っているはずなのだから。


施工途中、子ども達が天井からつり下げられた大きな模型を見て、座り込んで眺めていた。こういったことでいいのだと思う。細部の精度ももちろん大事だが、それ以前にコンテンツとして興味深いかどうかの方がきっと重要なのだ。丁寧にスケールを扱って、見せるコンテンツを吟味することが必要なのだ思う。
それにしても平日だというのに美術館は人でいっぱい。中年の夫婦が二人で美術館を訪れているのを多く見かけた。この国はのんびりしているが、こういったところは本当にいいと思う。




2010/04/14

印刷所

今日は朝からパネルの印刷所に確認に。問題となっていた印刷のムラや不具合はなんとか解決方法が見つかった。安心して事務所に戻り、残りの作業を始めていると、今度は印刷機のプログラムの関係で印刷できないデータが発覚。今日は急ぎたい大切な用事が他にもあったので、夕方早めに事務所を出て、再度印刷所へ。自分のPCを持っていって印刷所で修正の作業。すると他にも問題が見つかる。本来白いはずの部分が微かなグレーに。見えないはずの色が出てきてしまっていた。おそらくカラープロファイルの関係かと思われるが、これも原因がわからず。印刷機の調整で対応してもらうことに。印刷して確認してという作業を繰り返してもらう。よく見ないとほとんど気がつかない微妙な色だが、無理を言って調整をしてもらう。こういう部分はすごく気になるのだ。思わぬトラブルに予想以上に時間を取られてしまったので、走って駅まで行く。

夜、家で続きの作業をして明日朝最後の仕上げの作業をする予定


2010/04/13

入稿

今日もレイアウト作業。細かい部分を修正していく。本とか展覧会は見た目以上に細かい作業が多いのだ。多くの情報をわかりやすくセレクトしていくと同時に、核となる方向性をつけていかなければならないからだ。今回の展覧会は、10年以上にわたるローランネイの仕事を初めて総括するかたちなので、特に情報量が多い。複雑になりすぎず、かつある種の特徴を際だたせることは想像以上に難しい。松屋でやった「工事中景」展の時もそうだったが、最終的には欲張らずシンプルに一つの方向でまとめた方が特徴が際だつ。僕としては今回のポイントは、スケール感である。おそらく注意深く見ないと気がつかないとは思うが、先日書いたように身体スケールに合わせたグラフィックレイアウトを行っている。空間的な仕掛けではなく、模型も含めて身体スケールを意識した構成で全体が成り立っている。

もちろん内容としては、展覧会のタイトルにもあるように、力学をベースにしながら「かたち」を生み出していくという、ローランネイの思考にスポットを当てている。力の流れを意識するということは古典的ではある。だが、彼の特徴は最先端の技術も取り入れながら、力学によって生み出される「かたち」の可能性を拡張しようとしているところにある。と同時に力学をベースにするからこそ無駄のない、しかも建設可能な構造体へと到達することが出来るデザインプロセスにある。力学が基本になることで合理的な最適解に近づくため、建設行為で特に問題となるコストの問題も解消されていくのだ。意匠性と経済性もしくは安全性は相反しないのである。このことは解析を含めたデザインプロセスが事務所内で完結できることとも関係している。展覧会で紹介している「かたち」の成り立ちをじっくり見ていくことで感じてもらえるのではないかと思う。それぞれの「かたち」はデザインが先行されているかのように見えて、実はすべて合理的に説明可能なのである。感覚だけにまかせて任意に引かれた線は一本もない。どのように「かたち」が生み出されたのか、「かたち」と力の関係はどのように考えられているのかに注目してもらいたい。そして「感覚だけに」と書いたが、直感による部分と力学によって決められる部分のバランスから成り立っていることも、じっくり英語を読んでもらえれば感じてもらえるのではないかと思う。

今日はテレビの取材で僕も紹介された。オランダ語なのでどこで流れるのかよくわからないが。。。

さあ、明日朝入稿だ。

2010/04/12

21日

18時半からBozarで展覧会のオープニング。その直前の14時にプレス発表がある模様。明日はテレビの取材が事務所に来る。やはり一般の人も来るような美術館で開催されることは大きいのだと思う。Bozarは扱う対象がアートから音楽、映画、ダンス、建築など幅広いため、見に来る人の層も様々。専門的な内容ではあるが、いろいろな人に見てもらった反応が楽しみである。4つの部屋を使って行うのでかなり充実した見応えのあるボリュームだと思う。じっくりと楽しむことも出来るし、大きなビジュアルを多用しているので、雰囲気を楽しむ感じで回遊してもらってもいいのではないかと思っている。

作品集も見本があがってきて、内容が濃くいい本になっているとは思うが、個人的には展覧会の方がいい仕上がりになっているのではないかと思う。空間的な仕掛けはさほどないが、レイアウト構成と内容という点でおもしろくなっているはずである。

今日プロジェクトの展示パネルはほぼレイアウトが終了。明日校正を行って入稿したら、展示台のデザインを仕上げてほぼ会場のデザインは終わる。

もうすっかり日が長くなった。21時でもまだ日が完全には落ちない。

2010/04/10

快晴。

今日も快晴、暖かい一日。去年もみた家の近所の花がもう咲き始めていた。ちょっとしたことだけれど一年が循環していくのを感じる。今日は午前中印刷所によって最初のパネルを確認。綺麗に仕上がっていた。その後、A+の編集長ステファンとボザールのコーディネーター、イワンと共に事務所へ。文字が入るパネルの細部をチェック。原寸印刷を見ながら調整、さらに文字校正を行って最終版を仕上げる。これでレイアウトのフォーマットは完全にフィックスした。明日からは残りを仕上げていき、その後3dプリント模型を置くテーブルの上のパターンのデザイン。展示映像の作業へと入っていく。来週が終わると後は現場の設置の確認の作業が始まる。




展覧会

展示は300mmほどの3Dプリント模型70個と3つの巨大な模型、1200mm×1800mmの壁面展示用パネル60枚、映像といった構成。今日は展示パネルのデザイン作業。事務所の大型カラープロッターで原寸で出力してみたら、想像以上に大きい。原寸を確認しながら、レイアウト作業。プロッターの用紙幅が900mmなので、原寸ですべてを出力することは出来ないので、縮小版と原寸を見比べながらデザインを進めていく。もちろん最後はつなげて確認するけれど、最初からやるのは時間がかかるのでこの方法で進める。人の身体スケールに直接関わるサイズなので、いわゆる紙ものとはちょっとデザインのポイントが異なることに気がついた。一つ一つの大きさや位置が身体スケールと呼応する。つまり近くで見る時と遠くから見る時で、気になるグリッドやフォーマットのラインが変わってくるのだ。




遠くから見た時は、縮小版で見て心地いいフォーマットにのせてあげつつ、近くで見た時には特定のフォーマットのラインが心地よく効いてくるようにしようと考えている。つまり2重に仕掛けを組み込む感じだ。ステュディオハンで関わった仮囲いのデザインや、一昨年関わったHans展の時もある種のスケール感を考えたが、今回の壁面パネルのレイアウトもその延長にある気がする。もう少しいうと、展示会場は天井高がある(5-5.5m)ため、1/50の模型でもバランスを確認しながらデザインしている。なかなかおもしろいフォーマットが出来そうだ。写真は原寸で出力したもの。実際はもう少し高い位置に展示することになる。

水曜まで段階的に入稿なので、気が抜けない日々がしばらく続く。壁面パネルは厚み5mmのForexというプラスチック製で、今後の巡回展で使えるように考えている。






2010/04/08

桜、Bozar

帰り道、桜が咲いていた。道沿いに小さな桜並木がある。6分から7分咲きといった感じ。今日もBozarで打ち合わせ。これからほぼ毎日打ち合わせがある。展示用パネルの印刷作業が始まるからだ。それが終わると巨大な模型のセッティングをみなくてはならない。こういった作業は結局最後までバタバタなのである。今日、朗報が日本から届く。さー、がんばらないと。

2010/04/07

今週

今週は忙しい。展覧会の準備がピークをむかえている。週末も仕事になりそうだ。明日も朝と午後に打ち合わせ、それ以外は作業を夜までやらないと終わらない。

2010/04/05

公園

今日は祝日。天気もいいので近所を散歩。しばらくぶりに公園にも行った。家の近所に大きな公園があるのは心地いい。帰り道、梅が咲いていた。「梅は香りに、桜は花」京都からメールが届く。桜が満開のようだ。





2010/04/03

ブルーモーメント

ブリュッセルは緯度が高いせいか、これから初夏にかけて、ブルーモーメントがよく見られる。夕暮れ後のひととき、辺り一面が青い光に包まれ、家のオレンジの光と対照的な心地よい時間が訪れる。今日は快晴ではなかったが、夕方から晴れだして、今寝室の窓の外は青い光に包まれている。

これから初夏にかけて、冬のどんよりした薄暗い印象から、昼がどんどん長くなって、一気に明るい世界になる。ここに住んで2年、春が待ち遠しくなる感じがよくわかる。日本のようなしっとりとグラデーションで季節が変わっていくのとは対照的に、春は一気に明るく訪れる。ビールがおいしい季節がやってくる。

見たいもの

まだいくつか見に行っていない場所がブリュッセルにもある。カンブル修道院と立庭園のガラス温室だ。どちらもさほど遠くなく近いことから先延ばしにしていてまだいっていない。ラーケン王宮の王立庭園のガラス温室は、一年で数日間しか公開されないのでついつい行き忘れてしまう。今年は、4月15日〜5月9日までのようだ。毎年この期間しか一般公開されない。今年こそ見に行こうと思っている。実はこの周辺には橋を含めて見所がいくつかあるようだ。模型のチェックにいった際にボスが教えてくれた。もう少し緑が青々としてきたら行くのがいいかと思っている。


2010/04/02

ルクセンブルク

ルクセンブルクに行ってきた。まだ夜明け前の早朝5時に家を出て、朝一のインターシティで3時間。快晴だったがブリュッセルより寒い。ビザの手続きでユリングスターの役所へ。建て替えられたばかりで綺麗な建物。パスポートのコピーと住民登録証明をとって、30分ほどで終了。移民局に移動して書類を提出。ものの1時間で終わってしまった。前回あんなに大変だった作業が、今回はあっという間に終了。一度許可が出てからは更新はさほど困難ではないようだ。とはいえスタンプをもらうまでは油断できない。




今日は金曜。電車の時間まで余裕があったので、市内を少し散策。歴史美術館に立ち寄る。ルクセンブルク市の始まりから現在までの歴史が細かく展示されている。この種の展示の中では、非常に見やすくおすすめ。1000年にルクセンブルクという名称が書簡に登場してからの街の様子が時代ごとに同じサイズの木製模型で展示されている。街の変遷がよくわかるし、シンプルでいい。模型と合わせて資料を見ていくと、どのように街がかわっていったのかがよくわかる。ちょっとした展示方法の工夫で、魅力的になるのだと思う。この国は外国人の比率も多く、ルクセンブルク語以外にフランス語、ドイツ語の3カ国語はほとんどの人が話せるし、英語も普通に通じる。国際的な国だ。しかも世界でもっとも裕福な国でもある。


街は小さいながらも、城壁に囲まれた要塞都市で、1000年頃からの古い遺跡群と、緑に囲まれた美しい街だ。以前にも書いたが、僕はこの街が好きだ。スイスとルクセンブルクは自然と人工物のバランスがほどよく、生活という面でのクオリティが高いと思う。パリやロンドン、アムステルダムも楽しいが、やはり自然の中にバランス良く住むという点では、これらの国の街の方が僕はより好きなのだと思う。便利さとか現代都市の持つ楽しさとは、別の価値がこれらの場所にはあるのだと思う。きっとそれは現代都市のオルタナティブとして価値を持ってくる気がしている。