2008/07/07

ルクセンブルク

街は美しい国旗で飾られていた。
僕が訪ねたのは、建国記念日の翌日。
車でブリュッセルから2時間、インターシティで2時間半。
到着とともにまず目にしたのは、美しい3色の国旗。
ブルーが清々しく、とても心地よく感じた。


要塞都市。
街の中心部を高さ数十メートルはあるであろう城壁で囲んだ都市。
生命を守るために建造された壁。

恐らく建設当時は美しさよりも命を守るという必死の使命のもと建造されたはずだ。
その昔、土木構造物が、建築と分岐する前の時代、人の生命を守るという使命感の下、建設に関わったマスタービルダー、職人の誇りによって築かれた。

時を経て、壁は苔むし、緑に覆われ、静かにそこにある。
当初の役目は終えたが、その誇りは今も息づいている。
そしてそれは美しい。どうしようもなく美しいと感じた。
今回のヨーロッパの旅の中でもっとも美しいと感じた建造物だ。

明らかに人工物で、しかも人の手によって設計、建造されている。
自然の造形と人工物の美を比較し、自然に帰ることが良いとすることがよくあるが、ここではそんなことはどうでもよく感じる。人工物が自然に美しく存在しているからだ。

僕らの時代にも、このような誇りを感じさせる仕事がどれほどあるのだろうか。
そして時を経て、後の時代の人々に価値があると思われるものを、これからどれだけ創り出せるだろうか。街の風景を決定的に変える土木構造物において。