2012/01/03

ヘルシンキ


年末年始はヘルシンキで過ごす。とにかく日用品からインテリア、建築、生活に関わるものがどれも質の高いものが多かった。想像以上に良かったのは、アアルトのつくり出す空間。抜群のスケール感、いい曲線の心地よさ。建築から家具、金物に至るまで丁寧にデザインされているし、行為がしっかりと「かたち」となっているのが感じられた。凝ったディテールの部分とそうでない部分のバランスの良さや、大きなスケールと小さなスケールのバランスなど、とにかく体感することで理解できたことがたくさんあった。そしてどの空間にも生活の営みのリアリティがそこにしっかりあった。

このリアリティをつくることがデザインだと思う。心地よさや空間の持つ雰囲気のようなものは、設計者の生活のリアリティがそこに大きく影響している。僕が心を動かされた空間や構造物にはそれがあるのだと思う。眺めて美しい造形的に優れたものや技術的に革新的なものであっても、生活のリアリティの欠けた空間や構造物は、風景の中で鑑賞して楽しんだり、知的好奇心から楽しむことはあっても、最終的には僕は興味が継続しない。アアルトの空間はリアリティがあった上で、技術的に新しい要素も取り込みながら造形的に美しいから魅力があるのだ。

建築空間だけでなく家具や金物、テキスタイルなどを組合わせながらつくり出すスケール感によって生活空間のしつらえを獲得していることが体感できた数日だった。ただ不思議と橋や道路などのインフラはあまり質が高くなかった。室内で多くの時間を過ごすからなのだろうか?

とはいえ、この街は建築や構造物をみる以外にも買い物をしたり、カフェでゆっくり時間を過ごしたりするなど様々に楽しめるので、旅行にはおすすめ。