2010/05/29

休暇

今日から10日間の休暇。ブリュッセル、ゲント、アントワープ、パリをゆっくりとまわる。
明日は展覧会を見て、屋外でジャズを聞けたらいいと思っている。

2010/05/28

過去の作品

今回案内したネイ事務所の作品はクノッケとテルビューレン、HVVの3つの歩道橋。テルビューレン通りの歩道橋は初期の作品で、橋のプロジェクトが増え出すきっかけとなった作品。HVVはこれも初期の作品で、ディテール部分にローランの思考が垣間見られる。初期の作品を見ると、後々の重要な思考の断片が見られるのでなかなかおもしろい。特にHVVは、さほど構造的に特徴は無いが、階段のささら部分が通常に比べ高くなっていて、後の手摺りと構造部材が一体になっていくスタリールの開閉橋や、桁と床版の位置関係をデザインしていくことで経済性を確保していくテムズ橋などの思考との類似性を感じる。






クノッケ海岸。もうすぐ人であふれかえる。

2010/05/27

仕事

今週は小さなコンペ。給水塔のデザイン。3案提出できるという形式。外部の建築家も含めてブレインストーミング。タンク部分が浮いたような構造的な案、コスト重視の案、建築的な案の3つの方向で提案することに。僕の案は建築的な解決案。形状的にはシンプルだが、スケール感のコントロールと質感によって、ちょっと変わった給水塔になっている。展望スペースが要項に入っていたため、遠景からもヒューマンスケールを感じられる工夫をしている。
金曜日に仕上げて、その後春の休暇に入る。

2010/05/26

今週

今週も日本からの来客。今回はブリュッセル市内を日曜、月曜でご案内。もちろん展覧会もじっくり解説を加えながら案内した。両日快晴。屋外のテラスでの食事や路地のテーブルに座っての食事。ゆっくりとした休日の時間を楽しんだ。ヨーロッパの街は、公共空間と私的空間が緩やかに連続している。街路は人が通行する場所でもあるが、立ち止まったり食事をしたり、音楽を聴いたりする場所ですらあったりするのだ。そこには特段大げさなしつらえは無い。ゆっくりとした時間を楽しむという行為が、この空間を生み出している。
新しい建築やデザインを見ることも大切だが、同じようにこういった空間(というより時間感覚の方がいいかもしれない)を体感しておくことも重要なのだと思う。人が心地よく快適な場所(空間)や出来事(コンテンツ)を用意する仕事をしている人間として。

2010/05/25

巡回展

ローランネイ展覧会「shaping forces」。好評なようです。早くも3カ所から巡回展の打診があった。ベルギー国内、イスタンブール、香港です。アメリカも可能性が高い。
少なくともアジアでは日本で最初に実現させたい。


2010/05/19

先週から今週にかけて

金曜日ルクセンブルクへ。この日はルクセンブルク方面のみ鉄道のストがあり、通常より1時間半も遅れた。朝5時に家を出たのに着いたのは10時。移民局は平日9時から11時までしか開いていないため、急いで向かう。到着すると小さな部屋に30人ほどの申請する人たちが待っていた。僕は申請ではないので、ものの10分で終了。パスポートにスタンプをもらう。

土曜日、熊本大学星野研究室の方々を空港までお迎えに。先生と5名の学生さんたち。はるばる展覧会とNey作品を見に来てくれた。ホテルまで案内して、その後グランプラスのカフェで一杯。長旅で疲れている様子。明日からの予定を話して帰宅。

日曜日、朝市を見ようとホテル近くの広場に案内するが、この日は珍しくやっていなかった。朝食をパン屋さんで食べる。パンの盛り合わせをそれぞれ注文。クロワッサンを勧めるのを忘れてしまった。ここのクロワッサンは本当においしいのである。その後リエージュへ移動。カラトラバ、ロスラブグローブ、グレイシュなどいくつかの有名な作品を見る。Ney事務所の作品との比較という意味では面白いと思う。カラトラバとロスラブグローブは3次元の大架構の空間で、それぞれ設計手法が異なるため、ディテールや空間の印象などの比較ができる。カラトラバのリエージュ駅は一見複雑そうに見えて、基本的には単純な幾何形状の繰り返し。異常なまでに反復をすることで強烈な印象になるのだが。個人的には初期の作品のほうがバランスがいい気がしている。ロスラブグローブは、この事務所と同じくライノセロス等のソフトを使いながら、有機的な3次元局面で流れるような空間を創っている。しかし、細部をみると接合部はなったなりに納めており、極端に複雑になっている。これは設計過程で基準となる局面に沿わせた線にそのまま標準断面を適応して施工したためである。遠景からは美しいが、細部はもう少し丁寧に扱ってもよかったと思う。3次元の自由曲面を扱う際に、細部を丁寧に収めることは非常に難しい。プライオリに特定の理想的な形態をもってきた後に、構造解析、施工性などの検討を行う通常の設計プロセスでは、この部分は非常に困難になる。スタート時から意匠、構造、施工がパラレルに進行するプロセスをとる必要があるのだ。ルネグレイシュの斜張橋はシンプルで美しかった。新しさは感じないが堅実にしっかりと存在している感じ。ケーブルの納まりが特に美しい。ブリュッセルに戻り公園を散策した後食事。

月曜日、レンタカーでNey事務所の作品を3つほど。一つ一つを解説しながらまわる。Temse、Stalhille、knokke。帰りがけにブリュージュにも立ち寄る。市内を観光して夕食。ここが美味しかった。
ブリュッセルに戻るともう12時近く。皆それぞれ疲れているようだった。到着してこれだけ広範囲にいろいろ見ると結構ハードなスケジュール。でもたくさんのことを感じられたのではないかとも思う。

火曜日、講演会の日。僕は夕方まで事務所に。熊大チームは市内観光や買い物などそれぞれ楽しんだ様子。夕方事務所見学。講演会がフランス語、オランダ語のため、内容を僕の方から少し解説をして、事務所の様子を見てもらう。これから社会に出ていくうえで、たくさんの可能性を見ることは大事だと思う。その一つとして感じてもらえたら僕もうれしい。講演会後、会食。ベルギーの建築界、役所の要人などの集まる感じで僕もちょっと緊張。あっという間の4日間。楽しんでもらえただろうか。

東京の学生と比べると非常に素直で真面目な感じがした。いろいろ聞いていくと、デザインを仕事にするには、熊本からはハンデがあるような話もしていた。確かに情報量は少ないし、人との出会いという意味でもチャンスは少ないのかもしれない。でも僕の場合も大学は東京ではない。それに昨年熊本でのローランネイ講演会に始まり、こうしてベルギーとの交流が続いている。このことは非常に大きいと思う。きっとこれを続けていくことで、熊本の学生彼らにとってのチャンスを広げてあげられるのではないかとも感じた。なぜなら日本の学生の中で最もこの事務所との関係をもっているのが彼らなのだから。熊本は僕にとって縁のある場所。いろいろ考えていこうと思っている。

今回の展覧会、多くの人と知り合えた。そしてまだたくさんの人がここに来る。

2010/05/08

休日


日常の買い物、掃除、洗濯。ゆったりした休日。
来週は祝日もあり、ルクセンブルクにも行かなければならないので仕事は3日しかできない。仕事は、スタジアムの設計とコンペ用のプレゼン資料、18日の講演会の準備といった内容。さほど忙しい感じではないが、細かい作業が多い。今回のコンペは日本で言うプロポーザルのような形式。図面、パースは一切描けない。実績と言葉によるアイデアの説明、コストがポイントだが、僅差になる予想なので資料の見栄えも重要。こういった場合、僕は主にグラフィック的な部分を担当する。スタジアムは接合部のディテールのスタディ。

そういえば、今パリのカルティエ財団でビートたけしの展覧会をやっている。図録を見たら良かったので購入。帰りにビンテージのシャンパンも。これは来月飲もうと思う。


2010/05/06

wonderful night!

と書いて、思わずfatboy slimの同名の曲をかけてしまった。

今夜はとても楽しい夜。日本からの来客とブリュージュからの来客でした。僕はここにいることで日本とベルギーと双方で新しい関係が生まれていくのが嬉しい。ここにきて2年、事務所内部はもちろん、外部ともたくさんの関係が生まれてきている。プライベートでの大切な出会いも。

展覧会をご案内して、会食。新谷さんとバーテン夫妻、息子のサイモン君。フラマン語(オランダ語とほぼ同じ)はさすがに僕もほとんどわからない。会話はフラマン語と英語が入り交じる。日本人だからだろうか、毎回こういったケースで日本人がいたとしても日本語を使うのを躊躇してしまう。しかも英語の頭に切り換えると思考の肝心な部分が抜けることが多い。英語はほぼ仕事上でも不自由なく使えるようにはなったとはいえ、日本語で話すのとは全く違う。

東京で8年働き、ローランネイという衝撃的な出会い(Footbridge Knokke)で勢いでベルギーにきた。英語すらままならないし、ましてやフランス語、オランダ語などもってのほか。言葉のことなど考えるより先に、とにかくここで働くことしか考えていなかった。日本の土木もしくは都市空間におけるデザインの現状を考えた時、必要だと思った。ヨーロッパには他にも橋梁の設計を行っている優秀な構造事務所はあるのはもちろん知っていた。でも僕の中ではNey&Partnersしかなかった。明らかに他とは違ったものがここにはあると感じたからだ。実際働いてみて、その特徴ははっきりしてきている。knokkeやNijmegenのように非常に彫刻的なかたちが、すべてのバランスの中で合理的な最適解として解かれた結果であるということ。つまりかたちは説明可能で無駄がないのである。そしてそれはかたちとして力強く印象的かつ独創的なのである。軽快でスレンダーな橋や彫刻的な橋はもちろん他にもたくさんある。ただ非常に合理的につくられたスレンダーな橋はどこか既視感があるし、彫刻的な橋は意匠的な側面が大半を決定していることが多い。合理性と意匠性の両立はそう簡単ではないのだ。これを可能にするプロセスが今の環境には備わっている。最終的なアウトプットだけでなく、そのデザインプロセスをみていく時、もっともユニークな点が見えてくるのだ。

まだ日本ではその存在を十分に知られてはいない。僕がここで体感していることを伝えていけたらと思っている。土木の既存の世界との接点の少ない僕にはおそらく容易なことではないが、これからをつくる土木の学生達には刺激的なものになると思う。少なくとも既存の枠にはないものが世界にはたくさんあることは理解してもらえると思う。展覧会の作業が終わり、新しい仕事に入っているが、このことを考え始めている。今日も合間の時間でローランとこの件について話し、魅力的な提案をもらった。実現に向けて、いろいろな人に相談してみようと思う。

今月はたくさんの日本からの来客がある。展覧会をはるばる見に来てくれる人には本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。



2010/05/05

夕日

21時30分。ようやく日が暮れる。4月から快晴の日が多く暖かい。
僕の寝室からは毎日違った表情のおおきな空が見え、ゆっくりと夕暮れの時間が過ぎていくのを楽しめる。初夏のブリュッセルは時間がゆったりと流れる。5月、6月と働いて、7月、8月はもうバカンスシーズン。ここではすべての時間はゆっくり、決して加速しない。街の広場には常に人が集まって会話や食事を楽しんでいる。

ベルギーはデザインのとびきり優れた国ではないが、他にはないユニークなものが突然変異のように生まれる場所なのだと思っている。多言語国家であることも影響しているのだと思うが、世界の情報の流れから一歩距離があるゆったりとした時間感覚のせいもあるのではないかと思う。東京に住んでいた頃はもっと多くの情報に囲まれていたから、ここの流れは超スローなのだが、そのことによって周囲の自然の変化に敏感になる気がする。と同時にじっくり思考する時間も生まれる。

2010/05/03

更新


今日、更新の申請していた長期滞在許可が下りた。一度許可が出ると、こんなにも簡単にというくらいあっさり。やはり最初の取得は困難だが、その後の更新はよほどの問題がない限りスムーズにいくようだ。後はパスポートにスタンプをもらって、住民登録している役所に届けを出せば完了だ。今度は2012年4月まで更新の必要がない。

2010/05/02

空間

空間という言葉は難しい。抽象的で様々な意味を含んでいる。僕たちはよく使う言葉だが、一般的に共有されている言葉ではない。僕なりに考えると、ひとかたまりの空気をつくりだす場所、もっとわかりやすく言うと、人が集まってつくり出されている場所ということになるのだろうか。もちろんこれは、僕が対象とするものが屋外のパブリックスペースであることが多いことが大きく影響している。空間は、常に行為というかコンテンツと対になっていて欲しいのだと思う。ある休日のスナップ。ふとある人にメールをしようと撮ったものだが、この写真をながめていて思った。ここには空間が写っている。広場とか出店とか直接的な形態ではなく、空気感として、状態として空間が写っているように感じた。