2008/09/30

ペンと紙

ネイ&パートナーズで使っているペンとノートパッド。非常に書きやすく、スケッチがすいすい出来る。ノートパッド(5mm方眼)はヨーロッパの文房具屋でよく見かけるもの。(メーカーはど忘れ)

ペンはシャチハタのArtline200(0.4mm)。日本製に気がついてちょっとびっくり。Shachihataと入っていたので、はじめは気がつかなかった。どちらもごく普通のものだが、この二つが組み合わさると非常に心地よい。まさにベストといった感じ。書き心地は紙とペンの相性から決まっていることに気がつく。スケッチの時、書き心地は重要だと思う。気分が乗ってくる。

僕のボスは、スケッチを非常によく描くし、手計算で構造計算し、手書きで図面を書いてきた人。事務所の仕事は、ほとんどデジタルで仕事は進行し、アルゴリズムを使った3Dモデリング、作図、スタディは本当に今っぽいが、それでもスケッチや手計算などアナログな思考が残っている。おそらく、手で描くことをやっていると描き心地は重要なのだろう。高価なペンではなく、ごく普通の組み合わせというところがいい。

このペンは日本製だが、日本では買えないみたいだ。

2008/09/29

展覧会

いま企画している展覧会では、昭和初期の土木エンジニアの図面を展示する。昭和初期の図面をどう感じるかという感覚を実感するために、根津にある立原道造記念館に行ってきた。立原道造の方が有名ではあるが、一般から見ればこんな感じなのだろうというのは想像がつくと思ったからだ。

2フロアの展示で、建築図面、絵画、詩が展示してあった。展示解説もしっかりしており、解説を読みながら見ていく。解説はそれぞれ場所ごとに概要が400字程度。また2フロア全体で6カ所程度。これ以上だと読みたくなくなる気がした。知っていたものもあったが、ほとんどは初めて見たものばかりだった。展示の仕方はガラスケースの中に展示するよくある形でおもしろみはないが、解説がしっかりしていることで、展示物に入り込むことが出来た。

解説は質のよいものをほどよくが良さそうだ。思いを込めすぎて詰め込み過ぎると何も伝わらなくなる。

2008/09/26

アイデア

僕の場合打ち合わせ(ブレスト)で思考がまとまって話をすることはほとんどない。大抵いったん持ち帰って頭の中で反芻させておいて、数日後に突然雲が晴れたように、一気にまとまることが多い。自分のアイデアの出るパターンがわかってきていることもあるのだが、とにかく焦らずいったん寝かせておいく。急ぐときは、自分でノートに可能性を書き出すブレストを一人でする。これをやった後に他の人とブレストをすると、非常にロスが少なくてよい。というのも、僕の場合、全体の目的の整理つまりオリエン的なことなら意味があるが、いきなりの準備なしのブレストだと、何もアイデアが出てこない。

全体の概要の話(もしくはオリエン)>>>数日おく>>>自分ブレスト>>>>アイデアまとめ>>>>ブレスト
という形が僕の場合よいらしい

2008/09/25

思考のスピード

日本滞在が延びたので仕方がないが、「This blog is about engineering, design and everyday life in europe.」と書いておきながら、内容が日本のことばかりになってきている。あっという間に2ヶ月が過ぎた。

日本にいる方が時間の流れが速く感じる。社会のまわるスピードの差もあるが、言葉が大きいのだと思う。言葉がわかると思考も早くなるし、理解する解釈する時間のロスも少なくなる。言葉がわかるのはすばらしい。言葉は、不思議なもので、ベルギー滞在3ヶ月の後の一ヶ月位は、日本語を仕事で使うのに苦労した。日本語での思考スピードが落ちていた。

僕の仕事は発想することでもあるので思考のスピードは重要だと思っている。(アイデアが浮かばないときは思考が停止しているが)アイデアが浮かんだとき、いろいろな可能性を短期間に探れるからだ。ところが、3ヶ月でも日本語を仕事のコミュニケーションで使っていないと、どこか感覚として掴めなくなっているのを感じた。ようやく二ヶ月を過ぎて最近戻ってきている。世の中の空気感みたいなものを掴む必要がある場合、言葉でのプレゼンの感覚は特に時間がかかる。
当たり前だが言葉と思考が密接に繋がっていることを実感している。

2008/09/24

古書

探している本があると神保町に行く。
だいたい廻るところは決まっていて、南洋堂か明倫館。建築関係以外だとアート系古書店をいくつか廻る。古書街を歩くのは楽しいが、最近はあまり時間がないので、ネットで検索。検索サイトだと、日本の古本屋かスーパー源氏、アマゾン。値段の比較が出来る。ネットの本屋で、意外とおすすめなのは、東塔堂でよい本が揃っている。

2008/09/17

ブリュッセル散歩(5)本屋

本屋巡りは楽しい。ベルギーでのおすすめをいくつか。
CIVA。建築、都市を中心にローカルアーキテクトの情報が集まる。恐らくベルギー国内の建築の情報はここが一番あるのでは。他の国の大きなデザイン専門書店にないようなベルギー国内の建築、都市の本や雑誌もある。土木に関してもローカルな情報はここで見つかる。
Peinture Fraiche。ここはベルギー以外の国の本も充実。日本の建築雑誌、建築家の本もそろっている。
アントワープにあるCopyright。ここはファッション系の雑誌が充実している。その他建築デザインの本もあるが、それほど充実という感じではない。ただ他で絶版になっているものなどが残っていたりした。

パリは、いくつか行ったが、ArturialとBOOKSHOP Le Moniteur。
Arturialは、昔の本がいくつか珍しいものがあった。建築以外にアート、デザイン関係の書籍が充実。
BOOKSHOP Le Moniteurは建築専門。日本で言う南洋堂のような感じ。滞在していたホテルが近くだったので、じっくり時間をかけて見ることが出来たが、以外と興味を引かれる本はあまりなかった。東京の情報量はやはりすごいのだろう。ロンドンでもRIBAのブックショップなどいくつか代表的な書店に行ったりしたが、やはりローカルな本とか雑誌がおもしろい。

2008/09/16

東京

東京を外から眺める風景は、東京らしさを感じる。
森の向こうに蜃気楼のような東京。まだこんな場所も残っている。
でもこれから開発されていく。

This is a dockland of Tokyo.
You can see tokyo cityscapes behind the forest.
But it will be developed.



2008/09/12

土木学会

土木学会の図書感には興味深い図書が眠っている。仕事の関係で、先日その一部を見させてもらった。土木は外向けに情報を発信してきていなかったこともあるが、彼らが気づいていないおもしろいものが多い。「伝える>伝わる」情報の流し方を転換し、しっかり設定してあげると一般の人にも興味深い内容となると思う。いまそんな企画を進めている。

東京地下鉄道史。銀座線に関する記述。様々な図面も収録され、当時のつり革のデザインや出入り口の意匠なども収録されている。
























かなりマニアックではあるが日本築港史。各地の近代港の歴史が廣井勇の技術観で書かれた本。

2008/09/11

増田 淳


戦前、日本にも橋梁を専門とする設計事務所があった。
「増田淳」、東京土木ソサイエティの仕事の関係でぶつかった。日本では官のエンジニアが中心であった時代に、80橋近く設計をしている。図面も現存している。

昨日、その図面を見たのだが、非常に美しくグラフィカルだった。A0の大きな手書きの図面からは、エンジニアのプライドが垣間見れた。一枚一枚が迫力があり、線一本一本が魅力的だった。土木にもこんな時代があったのだ。過去はどうしても美しく見える。増田淳の橋梁もそういった側面が多分にあると思っている。

本来は今の方がもっとより美しい構造物をつくれるはずだと思っている。もちろん単に意匠という側面だけでなく。世界では現在においてもそういった橋を造れているわけだし、技術も格段に進歩しているわけだから。という話は置いておくとして、とにかく、A0というサイズもあるが、この図面が魅力的なことは確か。
後日再度じっくり見に行く予定だ。

2008/09/10

宣言すること

先日地方にいったときにバスの中でふと思ったこと。
観光資源って宣言することじゃないかと。よく地域の名産や名所がないという話を聞くが、なければこれからつくってもいいんじゃないか。有名な名所も名産も出来た当初があるはず。これだと思って自信をもって宣言すれば、いつかは名産になるのではないか。

ある企画を考えているときも、これからできあがる場所に対して「宣言をする」提案をした。まずは、言い切ることが大切な気がする。


>追記 2009年6月4日
言葉には解釈の余地が残されている。だから空間が限定されていても言葉を与えることで考える余地は生まれる。(空間は転換できる)
もしくは、
解釈の残された空間を言葉で方向付け(ディレクション)する。
どちらなのか??

2008/09/09

かたち


「自然のパターンー形の生成原理」
この本はおもしろかった。らせんの成長パターンから空間の最小充填、分岐の話など自然界に存在する形の法則ーパターンからフォルム生成に至る様々な記述。いまヨーロッパではアルゴリズムを使った形態生成が盛んだ。僕も今度の職場ではこれを求められている。形を生成していくための法則は理解しておく必要がある。特に空間の最小充填やパターン生成のルールは非常に有効となる。

他にはArchitectural Designという雑誌のMorphogenetic Designという特集のシリーズ。こういった特集を見ていると、これまででは考えられなかった「かたち」の在り方が模索できる気がしている。ある種の作業はアルゴリズム的な処理によって飛躍的に向上するし、効率的にまた偏見なく多くの可能性を列挙できるのも魅力だ。ただこれだけがこれからの新しい可能性ではなく、依然として構造物は現実に存在するものであるわけだし、リアルな存在として、社会的な文化的な存在として捉えていく中での可能性もあると思う。

絶対的な力学の世界の法則、アルゴリズムを使った形態生成、建築的価値を問うデザイン、これらと日々格闘できる環境、それが構造事務所でありながらデザインを積極的に提案していく姿勢の今度の職場だ。そこに僕は非常に魅力に感じている点である。日本の土木で語られなくなった「かたち」について考えるには絶好の機会だと思う。

2008/09/08

9月8日


いろいろあってまだ日本です。
手続きとはうまくいかないものです。本来なら9月はヨーロッパでした。今月からNey&Partnersにて勤務開始、本当なら歩道橋のコンペのチームに加わる予定でした。
でもまだ日本です。現地採用ということで入国のための手続きが簡単ではないようです。役所の手続きなので待つしかありません。その間、語学の勉強といくつかの仕事をします。
その一つは土木の展覧会の企画です。寄り道のような時間ですが、非常に楽しめています。これから、いろいろなことが動いていきそうな予感がしています。

2008/09/07

土木観察(3)猿橋


現存する唯一の刎橋(橋脚がない跳ね橋)。
高さ30メートル以上はある渓谷に架けるので通常は吊り橋が多いが、少しずつせりだしながらかかるこの形式は珍しい。八つ沢発電所 一号水路橋も近くに見える。こちらは鉄筋コンクリートの橋。

山間部を抜ける甲州街道沿いは、土木の宝庫。至る所に土木構造物がある。様々なレベルの構造物があるが、山間部にあるものは古いものほど、どこかもの悲しく叙情的な雰囲気がする。ヨーロッパの古典構造物にはない独特のしっとりとした湿っぽさを感じる。



2008/09/01

アントワープ、サイン

アントワープで見かけたサイン。
ピンクの矢印は賃貸アパートの空き部屋サイン。街中で見かける。日本のようにネットで部屋を探すより、空き部屋を街の中で見つけて不動産屋にコンタクトをとる方が一般的。















バーのサイン。













6月オランダ産のニシン。ちょうど訪れた日が解禁日だった。ヨーロッパの方が季節に敏感になる気がする。白アスパラもこの季節おいしい。









電話ボックスのサイン。レトロな未来感のある文字が気に入ったので。