2008/11/20

いくつかのアイデア

半年、もしくは一年の間に仕掛けたいアイデアがいくつかある。バラバラと頭の中に点在していたものが、ひとつひとつ繋がりだしている。展覧会は終わったが、一段落はしていられない。僕の場合、霧に包まれたように先が見えない時期もあれば、今のように霧が晴れ出す瞬間がある。ローランの来日が非常によい刺激になっている。渡欧スケジュールはまだ決まっていないが、それまでにやることが山積みになっている。デザインコミッティーの非常に楽しそうなメンバーと週末は金沢で開催される杉本博司展のオープニング兼金沢旅行に行く予定。僕は土木の世界でやっていくつもりだが、今の土木の流れとは違う道が見えてきている。

2008/11/18

来日

事務所のボスであるローランが来日した。1週間ほどの滞在。講演会を2カ所、仕事のミーティング、現地踏査とかなりの過密スケジュールとなった。彼にとっては非常にハードな来日だったように思う。僕自身にとっては、ローランとたっぷり話す時間もあり貴重な刺激的な時間だった。講演の内容を聞いての僕の感想としては、僕の想像以上のことを彼は考えていることがよくわかり、自分の身を置く環境のすごさを改めて実感した。橋もしくは構造の世界で、彼は恐らく世界のトップ5に入る人になると思う。というのも、意匠と構造、デザインとコストといった対立しがちな問題を彼は軽々と乗り越える。この辺りに関しても非常に刺激的な内容の話を移動中に聞くことが出来た。本をまとめる時間さえ彼にあれば、もっと知られる存在になると確信している。

それにしても、移動中、常に仕事のことが頭にある人だった。道ばたで突然スケッチを描くこともあれば、徹夜でアイデアを考えていた日もあったようだ。

僕は建築を学び、建築を離れながら漂流し、今の環境にたどり着いた。はっきりと常に先が見えていたわけではないが、自分のやりたいことが最近はっきりしてきている。ネイ&パートナーズ、東京土木ソサイエティともに僕にとっての新しいスタート。

世界を見ても土木でクリエイティブな思考を持つ人間は少ないそうだ。東京土木ソサイエティの話も彼に伝え、今開催されている展覧会も見てもらった。彼自身非常に興味を持ってくれたようで、今後いろいろな面で協力してくれるようだ。今回の来日、慣れないアテンドで身体的には疲れた面もあったが、非常に心地よい疲労と、なにより楽しかった。ネイ&パートナーズの日本初のプロジェクトまで確実に近づいている。

2008/10/28

The art of engineering

気になる言葉である。橋梁に関する僕が気に入った洋雑誌でも見かけた。ネイ&パートナーズでも使っている。会社概要を翻訳していて、そこでも使われているのだが、うまく訳せない。まだどういったニュアンスなのかがつかみ切れていないからだと思う。ちなみに以下が会社概要の翻訳。

「ネイ&パートナーズは、意匠と構造という異なる思考の統合を通じて、”芸術としてのエンジニアリング”という刺激的な視点に立って活動している。統合と構造最適化によって、従来の階層的な構造アプローチを超えた解決を目指している。私たちの事務所の革新的な橋梁や屋根構造、芸術性のある構造体は、こういった視点から生まれている。建築家、エンジニア、アーティストとの協働によって、意匠、構造の首尾一貫した統合が生まれると考えている。」

2008/10/26

展覧会

僕が企画・会場構成に協力している展覧会。「Hands 土木エンジニア ドローイング展」11月16日ー18日までの短い期間だが、四ッ谷にある土木学会で開催される。中でも増田淳のA0橋梁図面は圧巻。官所属のエンジニアが大半であった時代、自身の橋梁設計事務所を立ち上げ80近くの橋梁を設計。日本の土木にもこんな時代があったんです。増田が描く手書き図面は、レイアウト、線の美しさ、どれをとってもグラフィカルで美しく、その緻密で繊細な線は今見ても魅力的。土木の魅力を様々な角度から伝えていくつもりである。

この展覧会は「図面」の魅力という視点、事務所のボス、ローラン・ネイの講演会は、現実に「かたち」を結実させることを問う講演会。まだ日本の土木で、この種の議論は非常に難しい面もあるが、目指すところだと思う。2つの僕が関係しているイベントは、だいぶ異なる内容ではあるが、土木の議論はこれから始まることを期待して、これらに関わっている。

2008/10/24

講演会

僕の所属する事務所の代表、ローラン・ネイの講演会。
StudioHanDesignの韓さんにお願いして、東京大学 社会基盤学専攻 橋梁研究室の藤野陽三先生にお声がけしていただき実現した。
パンフレット用のテキストの日本語訳(スケジュールが厳しかったので徹夜して1晩で訳した。慎重に考えながら推敲したりしていたら、窓の外が明るくなっていた。でも心地よかった。表紙に使った歩道橋は、僕がこの事務所に行くことを決心したプロジェクトであったので。)とフライヤーをつくって、告知をはじめている。急遽決まったので、これから知人関係に協力してもらい、告知する予定。非常に興味深い話が聞けるはずである。

概要
「“かたち”とは?」という建築、土木に限らず創造する上での根源的な問いに、構造家として取り組むベルギーの構造家、ローラン・ネイ氏。建築家、アーティストとの協働にとどまらず、自身の事務所で意匠から構造まで手がける。事務所は、40名を超すスタッフのチームからなり、エンジニア、建築家、エンジニアアーキテクト、3Dモデラーなど多様な顔ぶれで構成されている。本講演では、歩道橋、キャノピーなど土木的なプロジェクトを中心に、構造家としての“かたち”に関する思考を辿りながら、「Freedom of form finding」と題して講演する。

日時 11月12日11時ー12時
場所 東京大学工学部1号館15号講義室
主催 藤野陽三 東京大学 社会基盤学専攻 橋梁研究室 
入場 無料

2008/10/18

日本家屋のギャラリー

ルーサイトギャラリーに行ってきた。浅草橋にあるのだが、こんなところに日本家屋がという感じ。非常に心地よい空間で、特に2階の木製のテラスからは隅田川と総武本線鉄橋が目の前に見える。川のある風景は東京らしい風景の一つなのだと感じた。知人に誘われ、ひょんな機会で訪れたのだが、こういう予期せぬ出会いがあるのが楽しい。

2008/10/08

日本

日本でのこの滞在期間。いろいろなことが周囲で動き出している。渡欧前の今年の初旬には想像もしていなかった方向に進みつつある。東京土木ソサイエティという活動に参加してから、様々に展開が広がりつつある。土木の世界は、やはりまだ堅い世界ではあるが、きっとよい方向に向かっていける気がしている。土木の中で個人として仕事が成立していく環境を創っていきたい。やることはたくさんあるが、楽しみでもある。一般的に難しいと思われていても、思ってもいない方向に進んでいくことがあるからである。とにかく今は動くことが大事だと思っている。

2008/10/04

ブリュッセル散歩(6)

清掃局の広告。街路に犬の糞やゴミが落ちていることが多いので、こういったキャンペーンをよく見かける。コピーは読めなくても伝えたいことが伝わってくる。言葉がわからない場所にいると、言葉ではないコミュニケーションに敏感になってくる気がしている。ちなみに清掃の人たちの服装は黄色やオレンジの注意喚起色だが、蛍光色のため、かっこよかったりする。建設現場の人たちの服装もビビットな色(黄緑や黄色)にシルバーの反射板がついていてかっこよかったりする。



2008/09/30

ペンと紙

ネイ&パートナーズで使っているペンとノートパッド。非常に書きやすく、スケッチがすいすい出来る。ノートパッド(5mm方眼)はヨーロッパの文房具屋でよく見かけるもの。(メーカーはど忘れ)

ペンはシャチハタのArtline200(0.4mm)。日本製に気がついてちょっとびっくり。Shachihataと入っていたので、はじめは気がつかなかった。どちらもごく普通のものだが、この二つが組み合わさると非常に心地よい。まさにベストといった感じ。書き心地は紙とペンの相性から決まっていることに気がつく。スケッチの時、書き心地は重要だと思う。気分が乗ってくる。

僕のボスは、スケッチを非常によく描くし、手計算で構造計算し、手書きで図面を書いてきた人。事務所の仕事は、ほとんどデジタルで仕事は進行し、アルゴリズムを使った3Dモデリング、作図、スタディは本当に今っぽいが、それでもスケッチや手計算などアナログな思考が残っている。おそらく、手で描くことをやっていると描き心地は重要なのだろう。高価なペンではなく、ごく普通の組み合わせというところがいい。

このペンは日本製だが、日本では買えないみたいだ。

2008/09/29

展覧会

いま企画している展覧会では、昭和初期の土木エンジニアの図面を展示する。昭和初期の図面をどう感じるかという感覚を実感するために、根津にある立原道造記念館に行ってきた。立原道造の方が有名ではあるが、一般から見ればこんな感じなのだろうというのは想像がつくと思ったからだ。

2フロアの展示で、建築図面、絵画、詩が展示してあった。展示解説もしっかりしており、解説を読みながら見ていく。解説はそれぞれ場所ごとに概要が400字程度。また2フロア全体で6カ所程度。これ以上だと読みたくなくなる気がした。知っていたものもあったが、ほとんどは初めて見たものばかりだった。展示の仕方はガラスケースの中に展示するよくある形でおもしろみはないが、解説がしっかりしていることで、展示物に入り込むことが出来た。

解説は質のよいものをほどよくが良さそうだ。思いを込めすぎて詰め込み過ぎると何も伝わらなくなる。

2008/09/26

アイデア

僕の場合打ち合わせ(ブレスト)で思考がまとまって話をすることはほとんどない。大抵いったん持ち帰って頭の中で反芻させておいて、数日後に突然雲が晴れたように、一気にまとまることが多い。自分のアイデアの出るパターンがわかってきていることもあるのだが、とにかく焦らずいったん寝かせておいく。急ぐときは、自分でノートに可能性を書き出すブレストを一人でする。これをやった後に他の人とブレストをすると、非常にロスが少なくてよい。というのも、僕の場合、全体の目的の整理つまりオリエン的なことなら意味があるが、いきなりの準備なしのブレストだと、何もアイデアが出てこない。

全体の概要の話(もしくはオリエン)>>>数日おく>>>自分ブレスト>>>>アイデアまとめ>>>>ブレスト
という形が僕の場合よいらしい

2008/09/25

思考のスピード

日本滞在が延びたので仕方がないが、「This blog is about engineering, design and everyday life in europe.」と書いておきながら、内容が日本のことばかりになってきている。あっという間に2ヶ月が過ぎた。

日本にいる方が時間の流れが速く感じる。社会のまわるスピードの差もあるが、言葉が大きいのだと思う。言葉がわかると思考も早くなるし、理解する解釈する時間のロスも少なくなる。言葉がわかるのはすばらしい。言葉は、不思議なもので、ベルギー滞在3ヶ月の後の一ヶ月位は、日本語を仕事で使うのに苦労した。日本語での思考スピードが落ちていた。

僕の仕事は発想することでもあるので思考のスピードは重要だと思っている。(アイデアが浮かばないときは思考が停止しているが)アイデアが浮かんだとき、いろいろな可能性を短期間に探れるからだ。ところが、3ヶ月でも日本語を仕事のコミュニケーションで使っていないと、どこか感覚として掴めなくなっているのを感じた。ようやく二ヶ月を過ぎて最近戻ってきている。世の中の空気感みたいなものを掴む必要がある場合、言葉でのプレゼンの感覚は特に時間がかかる。
当たり前だが言葉と思考が密接に繋がっていることを実感している。

2008/09/24

古書

探している本があると神保町に行く。
だいたい廻るところは決まっていて、南洋堂か明倫館。建築関係以外だとアート系古書店をいくつか廻る。古書街を歩くのは楽しいが、最近はあまり時間がないので、ネットで検索。検索サイトだと、日本の古本屋かスーパー源氏、アマゾン。値段の比較が出来る。ネットの本屋で、意外とおすすめなのは、東塔堂でよい本が揃っている。

2008/09/17

ブリュッセル散歩(5)本屋

本屋巡りは楽しい。ベルギーでのおすすめをいくつか。
CIVA。建築、都市を中心にローカルアーキテクトの情報が集まる。恐らくベルギー国内の建築の情報はここが一番あるのでは。他の国の大きなデザイン専門書店にないようなベルギー国内の建築、都市の本や雑誌もある。土木に関してもローカルな情報はここで見つかる。
Peinture Fraiche。ここはベルギー以外の国の本も充実。日本の建築雑誌、建築家の本もそろっている。
アントワープにあるCopyright。ここはファッション系の雑誌が充実している。その他建築デザインの本もあるが、それほど充実という感じではない。ただ他で絶版になっているものなどが残っていたりした。

パリは、いくつか行ったが、ArturialとBOOKSHOP Le Moniteur。
Arturialは、昔の本がいくつか珍しいものがあった。建築以外にアート、デザイン関係の書籍が充実。
BOOKSHOP Le Moniteurは建築専門。日本で言う南洋堂のような感じ。滞在していたホテルが近くだったので、じっくり時間をかけて見ることが出来たが、以外と興味を引かれる本はあまりなかった。東京の情報量はやはりすごいのだろう。ロンドンでもRIBAのブックショップなどいくつか代表的な書店に行ったりしたが、やはりローカルな本とか雑誌がおもしろい。

2008/09/16

東京

東京を外から眺める風景は、東京らしさを感じる。
森の向こうに蜃気楼のような東京。まだこんな場所も残っている。
でもこれから開発されていく。

This is a dockland of Tokyo.
You can see tokyo cityscapes behind the forest.
But it will be developed.



2008/09/12

土木学会

土木学会の図書感には興味深い図書が眠っている。仕事の関係で、先日その一部を見させてもらった。土木は外向けに情報を発信してきていなかったこともあるが、彼らが気づいていないおもしろいものが多い。「伝える>伝わる」情報の流し方を転換し、しっかり設定してあげると一般の人にも興味深い内容となると思う。いまそんな企画を進めている。

東京地下鉄道史。銀座線に関する記述。様々な図面も収録され、当時のつり革のデザインや出入り口の意匠なども収録されている。
























かなりマニアックではあるが日本築港史。各地の近代港の歴史が廣井勇の技術観で書かれた本。

2008/09/11

増田 淳


戦前、日本にも橋梁を専門とする設計事務所があった。
「増田淳」、東京土木ソサイエティの仕事の関係でぶつかった。日本では官のエンジニアが中心であった時代に、80橋近く設計をしている。図面も現存している。

昨日、その図面を見たのだが、非常に美しくグラフィカルだった。A0の大きな手書きの図面からは、エンジニアのプライドが垣間見れた。一枚一枚が迫力があり、線一本一本が魅力的だった。土木にもこんな時代があったのだ。過去はどうしても美しく見える。増田淳の橋梁もそういった側面が多分にあると思っている。

本来は今の方がもっとより美しい構造物をつくれるはずだと思っている。もちろん単に意匠という側面だけでなく。世界では現在においてもそういった橋を造れているわけだし、技術も格段に進歩しているわけだから。という話は置いておくとして、とにかく、A0というサイズもあるが、この図面が魅力的なことは確か。
後日再度じっくり見に行く予定だ。

2008/09/10

宣言すること

先日地方にいったときにバスの中でふと思ったこと。
観光資源って宣言することじゃないかと。よく地域の名産や名所がないという話を聞くが、なければこれからつくってもいいんじゃないか。有名な名所も名産も出来た当初があるはず。これだと思って自信をもって宣言すれば、いつかは名産になるのではないか。

ある企画を考えているときも、これからできあがる場所に対して「宣言をする」提案をした。まずは、言い切ることが大切な気がする。


>追記 2009年6月4日
言葉には解釈の余地が残されている。だから空間が限定されていても言葉を与えることで考える余地は生まれる。(空間は転換できる)
もしくは、
解釈の残された空間を言葉で方向付け(ディレクション)する。
どちらなのか??

2008/09/09

かたち


「自然のパターンー形の生成原理」
この本はおもしろかった。らせんの成長パターンから空間の最小充填、分岐の話など自然界に存在する形の法則ーパターンからフォルム生成に至る様々な記述。いまヨーロッパではアルゴリズムを使った形態生成が盛んだ。僕も今度の職場ではこれを求められている。形を生成していくための法則は理解しておく必要がある。特に空間の最小充填やパターン生成のルールは非常に有効となる。

他にはArchitectural Designという雑誌のMorphogenetic Designという特集のシリーズ。こういった特集を見ていると、これまででは考えられなかった「かたち」の在り方が模索できる気がしている。ある種の作業はアルゴリズム的な処理によって飛躍的に向上するし、効率的にまた偏見なく多くの可能性を列挙できるのも魅力だ。ただこれだけがこれからの新しい可能性ではなく、依然として構造物は現実に存在するものであるわけだし、リアルな存在として、社会的な文化的な存在として捉えていく中での可能性もあると思う。

絶対的な力学の世界の法則、アルゴリズムを使った形態生成、建築的価値を問うデザイン、これらと日々格闘できる環境、それが構造事務所でありながらデザインを積極的に提案していく姿勢の今度の職場だ。そこに僕は非常に魅力に感じている点である。日本の土木で語られなくなった「かたち」について考えるには絶好の機会だと思う。

2008/09/08

9月8日


いろいろあってまだ日本です。
手続きとはうまくいかないものです。本来なら9月はヨーロッパでした。今月からNey&Partnersにて勤務開始、本当なら歩道橋のコンペのチームに加わる予定でした。
でもまだ日本です。現地採用ということで入国のための手続きが簡単ではないようです。役所の手続きなので待つしかありません。その間、語学の勉強といくつかの仕事をします。
その一つは土木の展覧会の企画です。寄り道のような時間ですが、非常に楽しめています。これから、いろいろなことが動いていきそうな予感がしています。

2008/09/07

土木観察(3)猿橋


現存する唯一の刎橋(橋脚がない跳ね橋)。
高さ30メートル以上はある渓谷に架けるので通常は吊り橋が多いが、少しずつせりだしながらかかるこの形式は珍しい。八つ沢発電所 一号水路橋も近くに見える。こちらは鉄筋コンクリートの橋。

山間部を抜ける甲州街道沿いは、土木の宝庫。至る所に土木構造物がある。様々なレベルの構造物があるが、山間部にあるものは古いものほど、どこかもの悲しく叙情的な雰囲気がする。ヨーロッパの古典構造物にはない独特のしっとりとした湿っぽさを感じる。



2008/09/01

アントワープ、サイン

アントワープで見かけたサイン。
ピンクの矢印は賃貸アパートの空き部屋サイン。街中で見かける。日本のようにネットで部屋を探すより、空き部屋を街の中で見つけて不動産屋にコンタクトをとる方が一般的。















バーのサイン。













6月オランダ産のニシン。ちょうど訪れた日が解禁日だった。ヨーロッパの方が季節に敏感になる気がする。白アスパラもこの季節おいしい。









電話ボックスのサイン。レトロな未来感のある文字が気に入ったので。

2008/08/31

Wachendorf

ブリューダー・クラウス・フィールド・チャペル。
Wachendorfという駅からタクシーに乗って20分ほど。バスもあるようですが、本数が非常に少ない。全く英語は通じず、ドイツ語。同行者が行き先を伝えるためのドイツ語訳をメモしていたため、教会付近までタクシーでたどり着く。遙か彼方にそれらしきものが見える。周囲は起伏の緩やかな草原。初夏の日差しは思ったより強い。
一つの建築をみるために、世界中から人が集まるのだろう。僕ら以外にもあとからあとからぽつぽつ教会へ向かう人がみえる。この長いアプローチの時間が小さな教会のために費やされる。一つの建築をみるための非常に心地よい時間だった。時間がゆっくりと流れているのを実感できる。現代でもこういった構造物の在り方がある。小さな村のための小さな信仰のために創られた教会。アプローチ道には村の人がつくったと思われる手書きの案内があった。










2008/08/30

ブリュッセル散歩(4)

恐竜博物館。
結構おもしろい。内容も充実している。
地下フロアすべてを使って発掘現場が再現されていたり、恐竜の関節の仕組みや骨の重さなどを体感できるコーナー、恐竜の声の再現もある。映像展示の充実しているし、解説は4カ国表示、さらにそれぞれに研究者の映像解説がある(しかも映像の演出も凝っている)。恐竜以外にも現代の昆虫や動物の展示コーナーまである。じっくり見るととても一日では観きれない。




2008/08/29

土木観察(2)

写真を見返していて、おかしな柵を見つけた。横断抑止柵もあり、柵のようなベンチのようなものまであり、植栽帯もあるし、ボラードまである。総出演だ。しかも歩道側に一つだけある柵のようなものが、ベンチだとするなら、自転車道と近接しすぎている。もう一つこの写真で思ったことは、自転車道の青色。なぜ青?これから日本の道路は色とりどりに塗られていくのだろうか?スクールゾーンの緑。駐車停車禁止の赤。注意喚起の黄色。これ以外にも橋の色など、土木の色はみていくと、どうやって決めたのか意味不明なものが多い。

You can see many colors of road in Tokyo.
Blue means the bicycle zone. I don't know why they chose blue.
I am not sure whether they intend to paint the road like a rainbow.




ケルン

ケルン大聖堂、DOME。これぞゴシック建築という迫力。
天を目指してこれを創りあげる時代精神は、今からはとても想像できないことを実感する。構造物の実体を伴った物質感が、人々を惹きつけ魅了するという原点をここにみた気がする。使い方や機能というかたちにならない部分も大切だが、やはりこの空間を包み込む独特の空気感は、建築、構造物しか持ち得ない最大の特徴のひとつだろう。

ケルンの旅は、このほかに聖堂内のリヒターのステンドグラス、ズントーの小さな教会と美術館を訪ねた。
聖堂とは違った意味で建築、構造物の力を感じた非常によい建築だと思う。この辺りは後日として、最後にリヒターのステンドグラスについて。現代作家としてこういった形で歴史的な教会に作品を残すのは、おそらく初めての機会ではないだろうか。ゴシックの歴史の中で違和感なく、しかし現代性を失わずにある。おそらくアートとして気がつかない人もいると思う。でも明らかに他の時代のステンドグラスとは異なる香りがする。

これをみたときにアートとかデザインとかそういったことはどうでもよく感じた。歴史の中の一部として、しかし現代のものとして、時間をつないでいく在り方が心地よかったのだと思う。





2008/08/28

土木観察(1)

柵をみて歩く街歩きに同行した。日本でよく見かける横断抑止柵を中心にみた。これは、歩行者の横断を抑制するためのもので、車両の歩道への進入を防ぐものではない。この事実は意外と知らない人もいるかと思う。アクシス9月号の東京土木のページで日本の現状が紹介されるようなので、ここでは日本について僕は触れないが、ベルギーではどうだったかと思い、写真を見返してみた。柵を意識して撮った写真ではないが、いくつか見つかったので少しここに載せようと思う。

ベルギーでは大きな幹線道路でも、横断抑止柵やガードレール(車両用防護柵)はほとんど見かけない。あっても交差点付近に少しとか、ボラードがたまにある程度だ。なぜかと考えてみると、歩行者の横断に対して車の方が必ず止まることが思い浮かぶ。特に信号機のない横断歩道では100パーセント車が止まる。歩行者優先は常識となっている。このことだけで柵は必要なくなる。ただ日本とは違い、車道の脇が無料の駐車スペースとなっている。誰が止めても問題ない。道路の脇はほとんど駐車場だ。街中どこでもと言うわけではないが、ブリュッセルでは、こういったスペースは非常に多く見られる。首都とはいえ東京にくらべると人口が少ないのでこういったことが可能なのだが、柵とこの駐車スペース、どちらが美しいかは微妙な問題だと思う。ただ歩行者優先のマナーが常識化している分、街を歩いていてドライバーの心遣いが心地よく、非常に快適に感じるし、市内の一定エリアは車両進入禁止だったり道路脇の駐車スペースもなかったりする。

もう一つ頭に浮かんだのは、機械に対する認識の違いだ。たとえばエレベーターや公共交通の扉の閉まり方が、挟まったら危険だと思うくらい、かなり乱暴に閉まる。日本のようにゆっくりとは閉まらない。想像だが、機械はあくまで機械で、人はそれよりも弱いという認識があるのではないか。車も同様に機械なので日本以上に、人の方が絶対的に弱いという認識が恐らくあるのではないかと思う。便利さを求める車社会はどの国でも存在する。ただその認識の違いで街の有り様は変わってくる。

これから土木観察ということで、すこしづつヨーロッパ(ベルギー中心だが)で土木がどのように捉えられているのかを書いていこうと思う。



2008/08/26

熊本

今年の1月にデザイン誌の取材でいった熊本です。
アートポリスの取材でしたが、熊本は石造りの有名な場所でもあるため、通潤橋にもよってもらいました。
今から150年以上昔の橋ですが、その迫力は人を惹きつけます。灌漑用水用の水路橋です。ユニークなのは水路にたまった砂や土を流すために橋の中央部から放水を行います。この辺りは深い谷に囲まれているため、田んぼの水はもちろん、飲み水にさえ苦労する場所だったようで、この橋の意義は非常に大きかったのだと思います。設計者と石積みに関わった石工の名前もしっかりと記録に残っています。人々の生活を支える土木の在り方だと思います。

Bridge for irrigation water in Kumamoto,JAPAN
This bridge had made 150 years ago. When I visited this site, I was fascinated by a spirit of ancient civil engineer.