そろそろローランの個人で見れる限界の領域に来ているからだろう、先月から事務所の組織構成も新しくなった。チーム編成、組織構成を見ると毎回ながら僕のポジションは特殊なことがわかる。あらゆる段階の意匠的部分、およびプレゼンテーションをみることになるため、とりあえずここにというかたちになっている。事務所内に意匠部門はないため、構造エンジニアチームに入っているが、僕は構造計算は行わない。デスクの周りも皆エンジニアだが、デザイン能力やプログラミングを扱える人間が中心に集まっている。
僕はここに来てちょうど3年になるが、この環境のせいもあってだいぶ構造的な感覚もだいぶ身に付いてきた。ただ時としてこれが邪魔になることもある。やはり直感的なアイデアや思いつきがブレイクスルーになることもある。時には構造的に整理していくのはそのあとでもいい。どうしても力学は力強くかたちを示すからだ。来月日本にいくが、このアイデアはまさに僕が思いつきで作った模型からアイデアが動き出した。非常に難しいプロジェクトでローラン自身も悩んでいた。一つの模型をきっかけに、面白い構造的なアイデアになりつつあると思う。この試行錯誤の瞬間が毎回スリリングで楽しいのだが、今回は特にプロセスが楽しい。珍しく意匠からのスタートだが、構造的に面白いアイデアに落ちていきつつある。こういう何かしらのジャンプする要素は必要なのだろう。奇抜ではないが、シンプルかつ複雑さを兼ね備えたいいバランスのあまり他に見ない構造だと思う。
海外進出といえば、日本、南アフリカ、インドなど欧米以外の国で仕事が始まっている。日本に向けて、次に仕掛けることを考えていかないといけない。デザイン以外に僕はこういった仕掛けをする瞬間も楽しい。新しいプロジェクトが生み出される瞬間の楽しさは、経験するとやめられない。そこには様々な道のりがあり、時に交渉があり、先が見えなくなることもあるが、だからこそかすかに先が見えたときの嬉しさが大きいのだ。
5月連休は日本です。