自動改札が導入されてから、あちこちにバリアができた。透明のガラスなのだが急に窮屈になった気がした。壁一枚、バリア一枚、空間の感じられ方はちょっとしたことで変化する。同時に人の行動へも影響する。昨年夏訪れたチューリッヒの中央駅はそういった意味では非常に開放的ですばらしい空間だった。構内でレゲエライブが行われ、使い方と空間ともに、街とホーム・構内は連続している。開口やボリューム、レベル差、あるかたちによって生み出される空間の有り様があるのだと思う。そういう意味でもform=かたちは重要なのだと思う。
かたちの話といえば、6月初旬にパリでいったバカラ美術館。これがよかった。おそらく僕ひとりでは来なかっただろう。非常に繊細で、それぞれの時代が反映された様々なかたちを楽しめる。ここでいうかたちは、空間的なものとは少々異なるが、時代や思考を反映する。そしてここで思ったことは装飾というもう一つのかたちの在り方。様々な意味や価値観、思いが込められている。人はそういうものに惹きつけられるのだと思う。