ケルン大聖堂、DOME。これぞゴシック建築という迫力。
天を目指してこれを創りあげる時代精神は、今からはとても想像できないことを実感する。構造物の実体を伴った物質感が、人々を惹きつけ魅了するという原点をここにみた気がする。使い方や機能というかたちにならない部分も大切だが、やはりこの空間を包み込む独特の空気感は、建築、構造物しか持ち得ない最大の特徴のひとつだろう。
ケルンの旅は、このほかに聖堂内のリヒターのステンドグラス、ズントーの小さな教会と美術館を訪ねた。
聖堂とは違った意味で建築、構造物の力を感じた非常によい建築だと思う。この辺りは後日として、最後にリヒターのステンドグラスについて。現代作家としてこういった形で歴史的な教会に作品を残すのは、おそらく初めての機会ではないだろうか。ゴシックの歴史の中で違和感なく、しかし現代性を失わずにある。おそらくアートとして気がつかない人もいると思う。でも明らかに他の時代のステンドグラスとは異なる香りがする。
これをみたときにアートとかデザインとかそういったことはどうでもよく感じた。歴史の中の一部として、しかし現代のものとして、時間をつないでいく在り方が心地よかったのだと思う。