柵をみて歩く街歩きに同行した。日本でよく見かける横断抑止柵を中心にみた。これは、歩行者の横断を抑制するためのもので、車両の歩道への進入を防ぐものではない。この事実は意外と知らない人もいるかと思う。アクシス9月号の東京土木のページで日本の現状が紹介されるようなので、ここでは日本について僕は触れないが、ベルギーではどうだったかと思い、写真を見返してみた。柵を意識して撮った写真ではないが、いくつか見つかったので少しここに載せようと思う。
ベルギーでは大きな幹線道路でも、横断抑止柵やガードレール(車両用防護柵)はほとんど見かけない。あっても交差点付近に少しとか、ボラードがたまにある程度だ。なぜかと考えてみると、歩行者の横断に対して車の方が必ず止まることが思い浮かぶ。特に信号機のない横断歩道では100パーセント車が止まる。歩行者優先は常識となっている。このことだけで柵は必要なくなる。ただ日本とは違い、車道の脇が無料の駐車スペースとなっている。誰が止めても問題ない。道路の脇はほとんど駐車場だ。街中どこでもと言うわけではないが、ブリュッセルでは、こういったスペースは非常に多く見られる。首都とはいえ東京にくらべると人口が少ないのでこういったことが可能なのだが、柵とこの駐車スペース、どちらが美しいかは微妙な問題だと思う。ただ歩行者優先のマナーが常識化している分、街を歩いていてドライバーの心遣いが心地よく、非常に快適に感じるし、市内の一定エリアは車両進入禁止だったり道路脇の駐車スペースもなかったりする。
もう一つ頭に浮かんだのは、機械に対する認識の違いだ。たとえばエレベーターや公共交通の扉の閉まり方が、挟まったら危険だと思うくらい、かなり乱暴に閉まる。日本のようにゆっくりとは閉まらない。想像だが、機械はあくまで機械で、人はそれよりも弱いという認識があるのではないか。車も同様に機械なので日本以上に、人の方が絶対的に弱いという認識が恐らくあるのではないかと思う。便利さを求める車社会はどの国でも存在する。ただその認識の違いで街の有り様は変わってくる。
これから土木観察ということで、すこしづつヨーロッパ(ベルギー中心だが)で土木がどのように捉えられているのかを書いていこうと思う。