2010/05/19

先週から今週にかけて

金曜日ルクセンブルクへ。この日はルクセンブルク方面のみ鉄道のストがあり、通常より1時間半も遅れた。朝5時に家を出たのに着いたのは10時。移民局は平日9時から11時までしか開いていないため、急いで向かう。到着すると小さな部屋に30人ほどの申請する人たちが待っていた。僕は申請ではないので、ものの10分で終了。パスポートにスタンプをもらう。

土曜日、熊本大学星野研究室の方々を空港までお迎えに。先生と5名の学生さんたち。はるばる展覧会とNey作品を見に来てくれた。ホテルまで案内して、その後グランプラスのカフェで一杯。長旅で疲れている様子。明日からの予定を話して帰宅。

日曜日、朝市を見ようとホテル近くの広場に案内するが、この日は珍しくやっていなかった。朝食をパン屋さんで食べる。パンの盛り合わせをそれぞれ注文。クロワッサンを勧めるのを忘れてしまった。ここのクロワッサンは本当においしいのである。その後リエージュへ移動。カラトラバ、ロスラブグローブ、グレイシュなどいくつかの有名な作品を見る。Ney事務所の作品との比較という意味では面白いと思う。カラトラバとロスラブグローブは3次元の大架構の空間で、それぞれ設計手法が異なるため、ディテールや空間の印象などの比較ができる。カラトラバのリエージュ駅は一見複雑そうに見えて、基本的には単純な幾何形状の繰り返し。異常なまでに反復をすることで強烈な印象になるのだが。個人的には初期の作品のほうがバランスがいい気がしている。ロスラブグローブは、この事務所と同じくライノセロス等のソフトを使いながら、有機的な3次元局面で流れるような空間を創っている。しかし、細部をみると接合部はなったなりに納めており、極端に複雑になっている。これは設計過程で基準となる局面に沿わせた線にそのまま標準断面を適応して施工したためである。遠景からは美しいが、細部はもう少し丁寧に扱ってもよかったと思う。3次元の自由曲面を扱う際に、細部を丁寧に収めることは非常に難しい。プライオリに特定の理想的な形態をもってきた後に、構造解析、施工性などの検討を行う通常の設計プロセスでは、この部分は非常に困難になる。スタート時から意匠、構造、施工がパラレルに進行するプロセスをとる必要があるのだ。ルネグレイシュの斜張橋はシンプルで美しかった。新しさは感じないが堅実にしっかりと存在している感じ。ケーブルの納まりが特に美しい。ブリュッセルに戻り公園を散策した後食事。

月曜日、レンタカーでNey事務所の作品を3つほど。一つ一つを解説しながらまわる。Temse、Stalhille、knokke。帰りがけにブリュージュにも立ち寄る。市内を観光して夕食。ここが美味しかった。
ブリュッセルに戻るともう12時近く。皆それぞれ疲れているようだった。到着してこれだけ広範囲にいろいろ見ると結構ハードなスケジュール。でもたくさんのことを感じられたのではないかとも思う。

火曜日、講演会の日。僕は夕方まで事務所に。熊大チームは市内観光や買い物などそれぞれ楽しんだ様子。夕方事務所見学。講演会がフランス語、オランダ語のため、内容を僕の方から少し解説をして、事務所の様子を見てもらう。これから社会に出ていくうえで、たくさんの可能性を見ることは大事だと思う。その一つとして感じてもらえたら僕もうれしい。講演会後、会食。ベルギーの建築界、役所の要人などの集まる感じで僕もちょっと緊張。あっという間の4日間。楽しんでもらえただろうか。

東京の学生と比べると非常に素直で真面目な感じがした。いろいろ聞いていくと、デザインを仕事にするには、熊本からはハンデがあるような話もしていた。確かに情報量は少ないし、人との出会いという意味でもチャンスは少ないのかもしれない。でも僕の場合も大学は東京ではない。それに昨年熊本でのローランネイ講演会に始まり、こうしてベルギーとの交流が続いている。このことは非常に大きいと思う。きっとこれを続けていくことで、熊本の学生彼らにとってのチャンスを広げてあげられるのではないかとも感じた。なぜなら日本の学生の中で最もこの事務所との関係をもっているのが彼らなのだから。熊本は僕にとって縁のある場所。いろいろ考えていこうと思っている。

今回の展覧会、多くの人と知り合えた。そしてまだたくさんの人がここに来る。