2010/05/06

wonderful night!

と書いて、思わずfatboy slimの同名の曲をかけてしまった。

今夜はとても楽しい夜。日本からの来客とブリュージュからの来客でした。僕はここにいることで日本とベルギーと双方で新しい関係が生まれていくのが嬉しい。ここにきて2年、事務所内部はもちろん、外部ともたくさんの関係が生まれてきている。プライベートでの大切な出会いも。

展覧会をご案内して、会食。新谷さんとバーテン夫妻、息子のサイモン君。フラマン語(オランダ語とほぼ同じ)はさすがに僕もほとんどわからない。会話はフラマン語と英語が入り交じる。日本人だからだろうか、毎回こういったケースで日本人がいたとしても日本語を使うのを躊躇してしまう。しかも英語の頭に切り換えると思考の肝心な部分が抜けることが多い。英語はほぼ仕事上でも不自由なく使えるようにはなったとはいえ、日本語で話すのとは全く違う。

東京で8年働き、ローランネイという衝撃的な出会い(Footbridge Knokke)で勢いでベルギーにきた。英語すらままならないし、ましてやフランス語、オランダ語などもってのほか。言葉のことなど考えるより先に、とにかくここで働くことしか考えていなかった。日本の土木もしくは都市空間におけるデザインの現状を考えた時、必要だと思った。ヨーロッパには他にも橋梁の設計を行っている優秀な構造事務所はあるのはもちろん知っていた。でも僕の中ではNey&Partnersしかなかった。明らかに他とは違ったものがここにはあると感じたからだ。実際働いてみて、その特徴ははっきりしてきている。knokkeやNijmegenのように非常に彫刻的なかたちが、すべてのバランスの中で合理的な最適解として解かれた結果であるということ。つまりかたちは説明可能で無駄がないのである。そしてそれはかたちとして力強く印象的かつ独創的なのである。軽快でスレンダーな橋や彫刻的な橋はもちろん他にもたくさんある。ただ非常に合理的につくられたスレンダーな橋はどこか既視感があるし、彫刻的な橋は意匠的な側面が大半を決定していることが多い。合理性と意匠性の両立はそう簡単ではないのだ。これを可能にするプロセスが今の環境には備わっている。最終的なアウトプットだけでなく、そのデザインプロセスをみていく時、もっともユニークな点が見えてくるのだ。

まだ日本ではその存在を十分に知られてはいない。僕がここで体感していることを伝えていけたらと思っている。土木の既存の世界との接点の少ない僕にはおそらく容易なことではないが、これからをつくる土木の学生達には刺激的なものになると思う。少なくとも既存の枠にはないものが世界にはたくさんあることは理解してもらえると思う。展覧会の作業が終わり、新しい仕事に入っているが、このことを考え始めている。今日も合間の時間でローランとこの件について話し、魅力的な提案をもらった。実現に向けて、いろいろな人に相談してみようと思う。

今月はたくさんの日本からの来客がある。展覧会をはるばる見に来てくれる人には本当に感謝の気持ちでいっぱいだ。