2010/08/31

Berlaymont

打ち合わせでEU本部へ。ここでスペイン、ベルギー、ハンガリーの橋の展覧会が開かれる。なぜこの3国なのかは、今年から来年にかけての議長国がスペイン、ベルギー、ハンガリーの順で交代していくからだそう。スペインとハンガリーは歴史的な橋に対し、ベルギーはローランネイの作品を展示することとなっている。

セキュリティが厳しく、普通に中に入れる場所ではないので、貴重な経験。建物内のホールに展示されるのだが、EU本部なのできれいな空間だろうと想像していたら、メインのプレジデントホール以外は、普通の雑然とした空間だった。

これから何回かここにくることになる。




訪問者用のシール

2010/08/30

写真

友人のmomoko japan。ステュディオハンデザインにいた頃、担当した作品をよく撮ってもらっていた。彼女の写真は、とてもグラフィカルでありながら、やわらかいものが多い。ブログの写真を見ていると、とても感情的な写真と整然としたグラフィカルな写真が混在していて、興味深い。

土木構造物も風景も写真に撮ると、ある視点(もしくはフレーム)で切り取られる。見る(もしくは眺める)という対象になる。でもそこに感情的な要素が入ると、撮った人の断片が残る。僕はこのところ土木構造物や風景と身体性の関わりが気になりはじめている。つい数日前書いた空間の話も同様だ。そんなことを考えていたときに、彼女のブログを思い出した。



2010/08/29

ルーヴァン


ルーヴァンの中心部の小さな飲食街に新しくアーケードのような覆いをかける。非常に道幅の狭い通りで構造体もできるだけ通行を妨げないようにしなければならない。しかも古い建物が残る中心部だけあって、通りの建築物への影響を最小限にする配慮も求められる。

まだ始まったばかりで、これからどう屋根をかけていくかを考える。日本にはたくさんアーケードがある。ヨーロッパももちろんあるが、日本の商店街といったらアーケードのイメージが頭に浮かぶほど、たくさんある。直接的に参考になるわけではないが、ネットで検索したら恐ろしい数の場所のアーケードが出てきた。半円筒形の屋根をかけているところが多いのはなぜだろうか。

2010/08/28

ベルギーのおすすめ(1)

スーパーで買えるなんでものないものだが、個人的に気に入っているおすすめをご紹介。今回は、ミックスチョコレートペースト、タルティネ。

ホワイトチョコとミルクチョコのミックス。ミックスというのはベルギーで生まれたそう。チョコレートにチョコレートを掛け合わせる甘い物好きの人たちが生み出した一品。ミルクチョコの甘さにホワイトチョコの甘さが加わる。甘さがきつくなるかというとそうではなく、不思議と柔らかい甘さになる。

事務所の人に聞くと、チョコレートペーストは。朝の食卓には欠かせないものだそう。チョコレート専門店のものもおいしいが、スーパーで売っている普通のものが手軽でおすすめ。

2010/08/27

zwolle (2)

ブリュッセル7時19分発インターシティでロッテルダムへ向かう。
鉄道が時間通りに動いていなく、途中低速運転になったりで、予定より30分ほど遅れてロッテルダムに到着。ロッテルダムセントラル駅はちょうど新駅舎の工事真っ最中。サンドイッチを買って、ユトレヒト方面への電車に乗り換え2時間、zwolleに到着。片道だけで4時間。。おまけに真冬のような寒さに加え、雨まで降っている。よく考えればオランダ北部に位置する街だからブリュッセルより寒いのは当然だが、この日は特に寒かった。



雨がひどかったので、カフェで休憩。簡単に今回のデザインの方向性をローランと話す。

今回歩道橋をかける予定地は、歴史的に重要な入り江の一つ。ちょうどその場所にかけることになるので、反対意見も多いようだ。小さな街だが、河川に中にある中心市街は、レンガを使った趣ある街並であるため、保存していこうとする住民の関心も高い。今回の架設予定地は、街のメインの通りと新しい住宅予定地をつなぐものだ。市としては、住宅地の利便性や街としての発展のために、ここに歩道橋を建設したい様子。また、架設場所は限定されており、しかも周囲の既存の構造物などからの制約でかなり厳しい条件である。架設場所を少し変えることでもう少しいい方法があるのだが、それは許されていない。歴史的な街並に対して配慮と同時に、厳しい条件の中でどういった提案をするのかがガキとなる。







2時間ほど周囲をまわって、遅めの昼食。ニシンの塩漬けマティエス。刻んだタマネギと一緒に食べる。これが生臭くなく、非常においしい。初夏から漁が始まり、冬に向けての保存食として昔からつくられているそう。保存が利くため、周辺の国への売り歩くことで厳しい冬の中での重要な収入源であったようだ。

戻りの時間もあるため、この後中心市街を少し散策して、ブリュッセルへ。zwolle駅駅舎の屋根は、19世紀の構造体を1995年に改修したもの。小さいながら円筒形のホームの屋根は、非常にシンプルで心地いい。ポリカーボネートの開口部から柔らかく光が差し込む。一部もう少しうまくやれたのではないかという部分はあるものの、古いものを使っていこうとする姿勢を感じる街だった。



ブリュッセルへは18時過ぎに到着。自宅に戻ってから、事務所の同僚フィリップと食事。21時過ぎからブリュッセル郊外のケニー(事務所の同僚)の誕生日パーティーへ。少し飲み過ぎて1時に帰宅。

2010/08/26

Zwolle

明日は、ローランと共にオランダのZwolleへコンペの敷地を見に行く。ブリュッセルからは鉄道で3時間ほど。遠いので早朝出発予定。6時45分に自宅まで車で来てもらい、セントラル駅に向かいインターシティに乗る。Zwolleは街の周囲を川で囲まれた要塞都市。小さな街ながらグーグルマップで見るとなかなか面白い形をしている。コンペの対象は、中心部へ向かう120mほどの歩道橋。

2010/08/25

夏休み


熊本城。何度みてもすばらしい城壁の石積み。築き上げた人々の意思が、”かたち”としてしっかりと存在している。城というのは、天守閣や櫓などの建築物と、堀や土塁、城壁などの土木的なものからできている。僕自身が魅せられるのは、支えとなり基礎となっている城壁部分。しかもその存在感が他の部分を圧倒している熊本城は、何度訪れても飽きない場所なのだ。土木は、”かたち”ということ、空間ということをもっと考えないといけないと思う。



2010/08/24

メモ

ふと思ったことのメモ書き。

土木で景観と言った際に、よく耳にする言葉がある。視点場、つまりビューポイントという言葉。ある風景が美しく見える場所であったり、最もその風景を楽しめるポイントという意味である。土木構造物は、風景の中におかれた時に、遠景から眺めるものという考えがここにはあると思う。確かに立体物としての土木は、ダムや橋梁、山間部の土留めなど遠くから眺める可能性が高いものも多い。また立体物ではないものとしての公園や道路なども、面的なものが対象なので、人の視界を意識しながらデザインするからということもあるのだと思う。

視点を意識することが重要になると、当たり前だが、見え方が重要になると思う。その結果、風景に馴染む、風景にとけ込む、調和する、異物となる、調和しないということが大きな評価軸となる。街路や河川などの”かたち”になりにくい対象であっても、橋梁やダムなどの構造体として”かたち”が強く存在する対象であっても、見え方という思考が根底にあると、周囲の風景とのバランスが大きな要素になる。これは重要な視点だと思う。

ただ、もう一つ、空間という言葉を考えてみる必要があると思ったのだ。土木は建築のように何かを包み込むような空間の有り様は少ない。でも、都市内の広場や街路は建物などの構造物以外の残った場所とみると、土木の空間は、図と地でいった地としての、つまりVoidとしてあるし、自然の中に何かをつくると言った場合にも、自然の風景という3次元の空間の中に、人の営みを支えるものを挿入していくことになる。

ヨーロッパで週末、広場や公園に行くと、人の営みとしての空間を感じる。人が集まったり、寝転がったり、食事したり、会話したり、行為のための空間になっている。行為のための領域が生き生きと緩やかに変化している。直接的な”かたち”をもった空間ではないが、営みのかたちとして空間として感じることができる。これらを支えるために、ちょっとした構造物やしつらえがなされている。

橋梁などのかたちをもった構造物も、空間を意識すると橋の桁下や橋上の空間の広がり、3次元の中で線形をどう決めるかなどたくさんの人の行為に関係した考えるべき問題が出てくる。

大事なのは、空間を考えることが人の行為につながってくるということ。空間を考えるときに人は、身体のスケール感が基準になるからだ。土木における空間という概念をもっと考えることで、いまよりもっと多様な評価軸が生まれる気がしている。

2010/08/23

ブリュッセル

夏休みが終わり、ブリュッセルに戻って1週間。バカンスから徐々に人が戻ってきて、事務所も少しずつ通常の状態に戻りつつある。とはいえ本格的に仕事に入るのは、9月に入ってからだろう。

もうブリュッセルは秋が近づいているのを感じる。寒い日は地下鉄やトラムで暖房がかかっている。あっという間に時間が過ぎていく。そして、11月にはまた日本だ。東京、京都、福岡と3カ所をまわる。

来週EU本部に打ち合わせで行くことになっている。IDカードを申請してつくってもらわないと入れないようだ。こんな機会は滅多にないので楽しみ。

2010/08/02

東京

しばらくぶりの東京。いろいろなことを思った。その中のひとつはプロセスの共有ということ。これは日本に限ったことではないが、特に今の日本を考えると必須のことだと思う。ヨーロッパで仕事をしていると、プロセスの共有は当然のことのように存在し、また言語的にも明快に筋道を説明していかないと何も伝わらない。一方でデザインは、説明できない何かが人を惹き付けることがある。共有の仕方には2つの方向があるのだと思う。プロセスの共有ということは、僕の今いるNey&Partnersでも重要なテーマで、プロセス、思考が共有されるからこそ、プロジェクトが成立するのである。このことはもう少し明確に記述できるよう考えていこうと思う。