2008/09/09

かたち


「自然のパターンー形の生成原理」
この本はおもしろかった。らせんの成長パターンから空間の最小充填、分岐の話など自然界に存在する形の法則ーパターンからフォルム生成に至る様々な記述。いまヨーロッパではアルゴリズムを使った形態生成が盛んだ。僕も今度の職場ではこれを求められている。形を生成していくための法則は理解しておく必要がある。特に空間の最小充填やパターン生成のルールは非常に有効となる。

他にはArchitectural Designという雑誌のMorphogenetic Designという特集のシリーズ。こういった特集を見ていると、これまででは考えられなかった「かたち」の在り方が模索できる気がしている。ある種の作業はアルゴリズム的な処理によって飛躍的に向上するし、効率的にまた偏見なく多くの可能性を列挙できるのも魅力だ。ただこれだけがこれからの新しい可能性ではなく、依然として構造物は現実に存在するものであるわけだし、リアルな存在として、社会的な文化的な存在として捉えていく中での可能性もあると思う。

絶対的な力学の世界の法則、アルゴリズムを使った形態生成、建築的価値を問うデザイン、これらと日々格闘できる環境、それが構造事務所でありながらデザインを積極的に提案していく姿勢の今度の職場だ。そこに僕は非常に魅力に感じている点である。日本の土木で語られなくなった「かたち」について考えるには絶好の機会だと思う。