とはいえ、展覧会のもっとも大きな目的は内容をしっかり伝えて知ってもらうことにあると僕は思う。とすると僕は施工に対して少々細かすぎる要求をしているようにも思う。プロの写真も使っているが、アーティスティックというよりはしっかり撮っているという感じの写真だし、特殊なドローイングも今回はない。とするならば、印刷のクオリティや施工の精度よりも、むしろ配置とスケール感、プロポーションに気をつければよいのだと思う。今日はそんなことを考えながら施工に指示を出していた。一般の人たちには、僕が気にするような写真のクオリティよりも、展示室の中での配置や大きさのバランスといった身体感覚で直接感じられる要素の方が重要なのだと思う。一般の人から見れば、写真はもう十分にクオリティを持っているはずなのだから。
施工途中、子ども達が天井からつり下げられた大きな模型を見て、座り込んで眺めていた。こういったことでいいのだと思う。細部の精度ももちろん大事だが、それ以前にコンテンツとして興味深いかどうかの方がきっと重要なのだ。丁寧にスケールを扱って、見せるコンテンツを吟味することが必要なのだ思う。
それにしても平日だというのに美術館は人でいっぱい。中年の夫婦が二人で美術館を訪れているのを多く見かけた。この国はのんびりしているが、こういったところは本当にいいと思う。