橋のデザイン、構造体のデザイン。構造エンジニアとしてどのようにかたちを導き出すのかという問いへの答え。ここにこの展覧会の主眼は置かれているので、確かに専門的な内容ではある。でも僕は、時に専門的に思われていることが専門家よりも一般の人にダイレクトにつながる回路があることを知っている。見て美しいと思うこと、魅力的だと感じることは説明がいらないし、先入観がない方がより直接的に感じ取ることが出来るからだ。
どの大きさで写真を見せるか、どの写真を選ぶか、より感覚的に伝わる展示素材はなにか、言葉の選び方、フレーズの選び方といった基本的なことをしっかり押さえた時、専門的な内容だと思われていたものが、急に間口が広く開かれるのだと信じている。(実はこれらの基本的なことが本当に難しいのだ。)
この展覧会は、グラフィック的な(玄人的な)配慮、構造もしくは建築的な内容の充実、直感で誰もが感じられる要素という、3つのレイヤーで捉えてデザインしている。
幸いグラフィック的な配慮はパーティーでグラフィックデザイナー、編集関係の方々に褒めていただけたし、建築的な内容に関しては専門の領域なので問題ないのでないかと思っている。後は直感で誰もが楽しめるかどうかという点がどうかである。これからいろいろな人の意見を聞いてみようと思う。
そういえば今週金曜日にはA+の紙面のレイアウトを手掛けるグラフィックデザイナーさんの事務所に、欧文書体の扱い方に関して話を聞きに行く予定。文字の組み方をどのように考えているかを話すのは本当に楽しい。後日ここにもその様子を書くつもりだ。