2010/03/31

展覧会 準備

今日は展覧会に登場する12mの巨大模型の進捗を見に郊外へ。まだパーツだが木で出来た12mは迫力がありそう。他にも2mから3mの大きさの模型を3つ展示する。中でも木製のknokke歩道橋はかなり美しい。他2つもそれぞれに綺麗なので是非実物を見て欲しい。

ボスと昼食をとり、その後事務所に戻って展示レイアウトを詰める。だいぶ見えてきたがもう少し詰めないといけないと思う。明日は朝からBozarで打ち合わせ。

金曜日はルクセンブルクに。今週はなんだか忙しい。

2010/03/29

作品集

今日印刷に入りました。作品集をつくるのは想像以上に大変でした。印刷の際の図面の線のコントロールが難しい。いい経験でした。結局最後まで修正箇所があって、こんなにたくさん校正が必要なのかという感じです。特に時間が限られていたのでそのこともあったのですが。でもとりあえずこれで後は出来上がるのを待つのみです。

2010/03/27

休日、Bozar

一週間が早い。今日もブリュッセルは快晴。今Bozarではメキシコの展覧会を行っている。ついこの前までは中国だった。建築展はMEXICAN MODERNISMSという60年代の代表的なメキシコの建築家の展示が開催されている。建築展はあまり大きな展覧会ではないので映像と写真が少々といった感じ。バラガン、キャンデラなど代表的な作品の今が、現地の建築家、歴史家の解説と共に映像で見ることが出来る。事務所の展覧会ShapingForcesはこれの3倍くらいの空間なので、ボリュームはたっぷり。詰め込みすぎず、少なすぎずほどよい展示内容にしたい。展示空間をイメージしながら散策してみた。

4月に入るとBALKAN TRAFIK FESTIVAL が週末にある。ギリシャのフォークミュージックからバルカン半島の音楽を中心にライブがたくさんある模様。

2010/03/26

今日は午前中、スタジアムの構造体にかける屋根のデッキプレートの形状のスタディをして、午後からは模型材料を見にシュライパーへ。朝から快晴。もう春らしい陽気。月曜に打ち合わせがあるが、今日は特に急ぐ仕事もないので、ゆっくりと街の中を散歩。金曜は多くの会社が3時には仕事を終えるところが多い。なので4時にはラッシュアワーになる。久しぶりに満員のトラム、地下鉄に乗った。東京では当たり前のような混み具合だが、ここではめったに出くわすことはない。僕の事務所も金曜の勤務時間は3時までだが、ここ半年は早い日でも5時くらい。だからラッシュアワーに出くわすことはないのだ。



働いていて常に思うことだがこの国はゆっくりと時間が流れている。もちろん建築事務所はここでも夜遅くまで働いているが、違いは徹夜がほとんどないことくらいか。とはいえ、ゆっくりとした時間の中に、デザインする上で大切なものがあると思っている。

少し時間が出来たら、コンサートに行こうと思う。昨日Bozarで今月の予定のパンフレットをもらってきたら、4月、5月はたくさんありそうだ。金曜にちょっと早めに会社を出て、開演時間までゆっくりとバーで過ごす。そんな時間の使い方をしてみようと思う。春の暖かい陽気の中、そんな時間を過ごせたらいいね。




2010/03/25

展覧会、打ち合わせ、Bozar

今日は展覧会の打ち合わせでBOZARへ。大まかな方向性の最終確認。来週から細部を詰めていって、一気に仕上げていく。もう一ヶ月を切った。時間に余裕はない。アイデアはシンプルな方向へ。特殊なことはするつもりはない。メインのプロジェクトを絞り、プロジェクトの内容がしっかりわかるように紹介すること。ローランネイの思考のコアをテキストと、僕がつくったプロジェクトフローチャート(相関図)で紹介すること。そして今回の展覧会のタイトルにもなっているShaping forces、かたちと力の関係を紹介する。彼自身の思考の軌跡でもあるかたちの成り立ちに焦点を当てるのである。つまり基本的なプロジェクトの解説はもちろんありつつも、かたちの成り立ちを紹介していくのが本展覧会のメインとなる予定。同時に出版される作品集、建築雑誌A+での特集記事にも載らない展覧会だけのコンテンツを用意しようと思っている。僕自身の一番興味を抱いてる部分は展覧会のみでしか見れないのである。だからこそ展覧会を見る価値があるのだと僕は思う。そんな方向にしようと考えている。来週また打ち合わせを行い、もう少し具体的にする予定である。写真は会場となる展示スペース。今はメキシコの展覧会をやっている。




打ち合わせの後、ベルギーの若手建築家を紹介するNICHEというレクチャーシリーズをBOZARできく。今回は、OFFICE KERSTEN GEERS DAVID VAN SEVEREN。前回のベネチアビエンナーレのベルギー館の設計者。この年のビエンナーレでもっとも印象に残っていたものだ。しかも、Olgiatiの講演会で隣り合わせになり、建築について話をしたのが彼だった。


講演を聴いての印象は、非常に合理的な思考から建築をつくるということ。そしてどのプロジェクトも一貫した思考が貫かれていて、建築をある種のフレームのように設定し抽象的なグリッドによる境界から空間を生み出している。一つの強い思考というかツールを元に、様々に複雑な条件を解いていくあたりは、どこかローランネイの思考にも通じる部分がある。しかも各プロジェクトが飛び抜けているというより、じっくり解説を聞いていくと非常に明解で独自の部分が見えてくるあたりも共通している。ベルギーという国は、多言語国家であり、様々な文化が入り交じった小国である。多くのものが混じり合い複雑に絡み合っている中で、一つの最適解を見つけ出さなくてはならない状況は常に存在する。国民性としては地味な方であるが、独自の文化も持っている。このような地域性だからこそ、こういった思考が生まれるのかも知れない。地域性と合わせてベルギーの建築シーンを伝えていく企画はおもしろいのかも。


2010/03/24

校正 ブリュージュ

今日は午後から中心部にあるベルギーの建築雑誌A+の編集部へ。数年前にリニューアルしたこの雑誌なかなかおもしろい。主にベルギーの建築の情報を扱っているのだが、レイアウトも美しいし、インフラから都市、建築まで幅広く紹介している。都市的な視点に比重が置かれているところもいい。当然だが建築から街路、広場、インフラストラクチュアまですべては連続しているし、公共空間なのである。このような雑誌の構成は編集部のスタッフが30代中心と若いことがその理由のようだ。フランス語とオランダ語版しかないのが残念ではあるが、フランス語ならなんとか読むことが出来るので、たまに買っている。都市を扱う雑誌は世界的にも少ない中でなかなかいいポジションだと思う。もちろんないわけではないが、建築からみた都市という視点になりがちなのである。



A+はサブロン広場の近くにある。この界隈は画廊が多く集まっている。アールヌーボー調の建物が多く、なかなか雰囲気もいい。A+が入っている建物の階段、これがなかなかかっこいい。螺旋状の貝殻の内部のような有機的な形状をしている。お昼は食べてからいったが、おいしいサンドイッチ屋さんがあるというので買ってみた。ちょっと高めだが、抜群にうまい。おなかいっぱいだったのにも関わらず、ぺろりと食べてしまった。決して小さくはないのだ。お店の名前はfaire fontaine。店内の雰囲気が特段にいいわけでもなく、知らなかったら立ち寄ろうとはしなかっただろう。とにかくすごくおいしかった。きっと喜ぶだろう人が思い浮かんだので、ベルギーに来た時に一緒に行こうと思う。




ブリュージュへは車で移動。1時間半ほど。郊外にある印刷所で、図面の線の太さ、色校正、文字のチェックを行う。もう何度もチェックしているが、まだ間違いが見つかる。作品集に関わるのは初めてだが、こんなに大変だとは思わなかった。特に今回のものは図版の量が多いこともあるとは思うが。表紙も含めレイアウトに関しては不満な点もあるが、本の内容はすばらしいものになると思う。挿入されているインタビューテキストが興味深い。僕が始めにグラフィックデザイナーに提示した方向は、もう少し抽象的でアーティスティックなレイアウトだったが、最終的にはクラシカルで情報を整理していく方向になっている。初めての作品集としては、きっとこの方向で良かったのだと思う。とにかく情報がぎっしり詰まっていて、値段もリーズナブル。フルカラー200頁。僕が関わったものも多数載っている。

今回思ったのが、この手の本のレイアウトは特に内容を理解していないと難しい面もあるのだと思う。そいいう意味では情報を整理してフォーマット化しないと難しかったのだとも思う。と同時に内容を理解していくと、もう少しおもしろい方向も探れることもわかったので、収穫もたくさんあった。本の構成からレイアウトまで方向性を考えて深く関わったので、いい経験になったと思う。



2010/03/23

振り返ること

これまでやってきたことを振り返ることは大切だと思う。建築を学んで、ステュディオハンデザインを経てネイアンドパートナーズに移ったことは、僕の中では一貫している。一般には、建築>都市>土木とそれぞれ違う分野のように感じるのだと思うが、僕の中ではそれぞれがつながっている。

学生時代からの僕の疑問。なぜ、建築や都市、土木といった仕事が、ファションや音楽やグラフィックのように誰にでも共有可能で敷居の高くないものにならないのだろうか。
すべてはここから始まっている。

僕のこれまでの経歴は、コミュニケーションの在り方の模索なのだと思う。大ざっぱにいうと、ステュディオハンでは伝わる言葉やビジュアルを使ったデザインおよび企画を生み出すこと、ネイアンドパートナーズでは意匠、構造、施工、メンテナンスなどあらゆる側面において誰にでも共有可能なデザインを生み出すプロセス、そしてそのプレゼンテーションを経験してきているのだと思う。どれも多くの人とデザインを共有するために欠かせないものなのだ。

しかも、コミュニケーションが重要となる多言語の国で。
明日はブリュージュで打ち合わせです。




2010/03/22

仕事

今日は比較的ゆっくりとした一日。ちょうど事務所の作品集が、最後の校正を水曜日に済ませると印刷工程に入る。ようやく完成するのです。週後半からは展覧会準備が本格化という感じ。他の作業としては、小さなバス停の屋根のデザイン、スタジアムの屋根部分の架構のデザインが今週やらなければいけない作業だ。

もうすっかり春らしく暖かい。日もだいぶ長くなってきた。きっと展覧会が始まる頃には、もうすっかり春なのだろう。このちょうどいい季節に僕を訪ねてきてくれる予定の人がいる。楽しみです。

2010/03/21

コンペ アルベルト運河

アルベルト運河にかかる橋梁のコンペ。

今年初旬結果が出て勝利した。競合はシュライヒ、アラップ+ウィルキンソンアイ、グレイシュ。個人的にはグレイシュ事務所のライズの低いアーチの提案は美しかったと思う。


また建築事務所も参加してしっかり多角的な議論が行われるところはすばらしいと思う。土木も建築も専門性はあれど、街を創る要素であることには変わりないのだ。建築と土木の境界ほどばかばかしいものはない。一本の線で両者が切り分けられることはナンセンスだと思う。


選考で最後まで競ったのはシュライヒ事務所。このコンペは建設可能であることが条件なので詳細部分まで提案を求められた。勝因は、運河にかかる4橋に同様のデザインを施すため、変数を変えてあげることで容易にデザインを適応できる手法を提案したことにある。

美しさと同時に求めるものに対する戦略の立て方が重要なのである。ここでは変数のコントロールをグラスホッパーで行っている。目立たない部分に先端の手法を用いている。パラメトリックデザインは、あくまでツールなのである。

地方

ブリュッセルでは、ブリュッセルエクスポートという国内企業が海外で何かを行う時に行政がサポートをする助成制度がある。建築やデザインに関しても適応される。ブリュッセルはベルギーの首都とはいえ人口は100万人ほど。日本の地方都市レベルである。

この制度がおもしろいと思うのは、ベルギーを世界に輸出ということではなく、ブリュッセルという都市を直接世界につなごうという点。もちろん行政区分(ブリュッセル、ワロン、フラマンという3つ)や首都であることということが影響しているのだと思うが、都市レベルで世界がつながることには可能性があると思う。アントワープがファッションで知られるようになったことや、アーヘンの例のように、地方都市がどう世界とつながるかということから、地域の生活にしっかりつながった独自のものが生まれる気がする。

ヨーロッパを旅していて思うのは、パリもロンドンもアムステルダムもおもしろいと思うのはローカルな部分。情報量という点では圧倒的に東京の方が多いからだ。東京には世界中のものが集まっているのだとよく思うことがある。どの街もこれほど世界の情報が集まってはいないのだ。

反対にスイスやベルギー、オランダの地方の小さな街に行くと少ないけれど独特のものが見つかることがある。世界の情報の流れに晒されていないからということもあるのだろうが。都市レベルの特色をそれぞれの好みでチョイスできるようなことが出来るようになったらおもしろい。

Botanique

土曜日、地下鉄の定期を春から導入される電子カードに換えにRogierへ。切り替え間近なので1時間ほど並んで待つ。30人ほどの人の列。窓口は2人。しかも食事をとったり、話をしながらのらりくらり。気長に待つ。順番が来ると1分もかからず終了。こんなものである。
帰りに隣の駅にあるbotaniqueでAlechinskyの展覧会をみる。非常に東洋的でもある筆で描かれた絵画が50点ほどと広告やポスターで使われたゴム版画、タイポグラフィーが30点ほど。過去に京都にいたこともあるようなので納得。個人的にはゴム版画やタイポグラフィーの作品が良かった。やはりグラフィック的なものが好きなのだと思う。



トラムでルイーザ通りへ移動。行きつけの本屋さんpeinture fraicheへ。ベルギーではここが一番本の品揃えがいい。A+Uやアイデアなど日本の雑誌や本もある。アーヘンのデザイン学校werkplaats typografieを特集した韓国のデザイン誌を購入。紙の質感がすごく僕好み。オランダのデザイナー2人が始めた学校。実際のプロジェクトの中で実践的なデザイン教育を行う学校のよう。内容はかなり実験的なタイポグラフィー。キッチュな感じがオランダっぽい。個人的には好きな方ではないけれど、アーヘンという小さな街で始まっている動きという点、デザイン教育のもう一方での在り方という点で興味をもった。アーヘンは近いうちに行ってみよう思う。

2010/03/20

鉄鋼

金曜日、打ち合わせの帰り。ふと通りかかったガード下。恐らく20世紀初期の頃だと思うが、高架下に装飾が施されていた。ベルギーは鉄鋼業が良く発達していたため、たまにこういう20世紀初期の鉄の装飾が施されたものに出くわすことがある。


2010/03/14

新旧

週末、市内中心部へ買い物へ。僕の家からは地下鉄で7,8分ほど。距離というより地下鉄の本数が少ないので、意外と時間がかかるのです。首都とはいえ小さな街なので、中心部でもピーク時で地下鉄は6分に一本、休日となると10分ー15分に一本なのです。

写真はニューストリートと食い倒れ横丁として有名なイロ・サクレ地区。時代は変われど、商業主義の創り出す雰囲気はどこか似ている。とにかく何かをしきりにアピールする感じ。世界中どこにでも同じような雰囲気を創り出す。消費されて移り変わっていく風景、国はかわっても同じなんだなーとふと思った。


2010/03/13

職能

今の環境は、建築、土木、アートこういったものが対象になっている構造事務所だ。僕はあくまで意匠面、感覚的な側面、ビジュアルを中心に担当する。しかし、必然的に力学に触れることになる。かたちは力学抜きには決められないからだ。

建築家が力学から遠ざかって久しいが、そもそもクラフトマンシップが有効だった時代(今も残ってはいるが)には、建築家も構造を理解していた。ここでいう構造はなんにも構造計算のことではない。大きな意味での力学の基礎、かたちと力の関係のことなのである。また、アーチとかトラスといった形式のことでもなく、かたちと力のより原理的な部分という意味ある。

こういった部分を負担できる職能というか領域はきっと必要なのだと思う。今のこの環境では建築家との協働もあるが、ほとんどのケースでかたちはこの事務所で決めることとなる。
意匠と構造、建築家と構造家といった近代の細分化のの中で出来上がったカテゴリーの間に、現代的なトピックが潜んでいる。同様のことが建築、土木といった区分にもあるし、道路境界線といった線によって街が切り分けられてしまう問題にも言える。

建築とか土木といった区分よりも、街を生活環境をどうよくしていったらいいか、要求にどう答えればいいのかといった本質をみていくと、意外と不況とはいえ世の中にはデザインが必要とされる場所があるのだと思う。そこの時デザインは美しいもしくはユニークなかたちをかんがえるということではないのかも知れない。でも結果、目に見える見えないは別として何らかの思考の美しさが備わらなくてもいけないとも思う。




かたちについて

もののかたちは、思考の結晶なのだと思う。ある時は機能から、ある時は美的感覚から、又ある時は成り立つための構造から決められる。それは立体のみならず、平面においても映像においても同様なのだと思う。

ただ、ネイアンドパートナーズに在籍して感じているのは、ここでは何かいい、おもしろいとかいった曖昧な言葉のみでかたちは議論されない。かたちは必ず現実に存在しなくてはならないからだ。もちろん歴史や場所性といったコンテクストが、かたちに影響することもあるし、求められる条件が前提となる場合もある。ただ、片足は必ず構造の、力の流れの世界に入っているのである。そうすることで存在理由がしっかりと共有される言語になるのだ。力学というベースを基本に置きつつ、複雑な条件を思考していった結果がかたちに結晶するのである。それ故、的確で合理的なプレゼンテーションが可能となる。

力学という絶対的なものに縛られると、従来の形式から離れられないように感じることもあると思う。しかし、コンピューターを使ったある種の解析や形態探索は、時として思わぬ結果にたどり着くことがある。この辺りが現代の構造の最先端の一端なのだと思う。そしてそのプロセスにおいては感覚的な要素も入り込むのだ。つまり生活の中で感じているかたちの有り様、自然界のかたちの有り様は、みな感覚として持っていて、かたちを選び取る際、その方向を決める際に影響するのである。もう片方の足は、PCという他者の中に、もしくは、直感の世界にある。講演会でローランがもっとも影響を受けたものはという質問に「自然そのもの」といったことは、この辺りに関係していると思う。

力の流れを意識するというアプローチは古典的ではあるが、これを基本にすることでかたちの存在理由は絶対的なものとなる。壊れないこと、倒れないこと、安全といった誰もが共有できるポイントをクリアできるのだ。もしくは最小限で最大限の効果をというエンジニア的な思考は、コストの問題をも乗り越える。

「shaping forces」、今年4月22日から現代美術館で開催される展覧会は、そんな思考を披露するつもりだ。ネイアンドパートナーズの仕事は、表面的なかたちのみをみていると、ユニークらヨーロッパ的なデザインのひとつと捉えられがち(ほとんどの人はそう思うだろう)だが、実はその内容を知ると、耐震偽造で騒がれた安全性の問題、昨今の道路行政でのコストの問題といった建設業をおおう暗い話題を乗り越えるヒントがそこにあるのである。

かたちのアウトプットは、象徴性を求めるヨーロッパならではのクライアントの要求が影響しているが、アプローチ、思考プロセスは日本でもきっと有効なのだと思う。日本特有の要求をローランの頭の中に伝えきれたとき、日本でその思考の結晶が生まれたとしたら、これまでの事務所の作品とは違ったものが生まれると思う。

2010/03/10

tournai

先々週、トゥルネーに行ってきた。フランスの国境近くにある小さな街だが、世界遺産になった大聖堂のせいか観光客が意外と多い。この大聖堂はこの地方特有の形を持っていて、ゴシック様式とロマネスク様式の部分が時代ごとに増築されて、混じり合っている。
ちょうど訪れたときには改修中。ゴシック部分の内観はよく見えなかったが、ロマネスク部分のアーチの連続は美しかった。



街の中で見かけたレンガの模様。この壁が50mほど連続していた。

annual meeting、チーム編成


毎年、この時期に一年を振り返るミーティングがある。ボスとスタッフとの個別面談のような感じである。話す内容は、課題点、改善点、よかったことなど仕事を中心に、プライベートなことも気軽に相談できる。

僕はようやくこの去年一年で、事務所のスタッフに僕がどういったことが出来るのかが伝わって多くのことを求められるようになったこと、意匠から構造解析、施工に至るまでのプロセスにおいてどういうコミュニケーションが必要かが僕なりに見えつつあることを話した。課題点は、言葉のスキルが足りないことによるコミュニケーション不足なこと。日常的なことはフランス語でもなんとかなるが、デザインを伝える言葉や設計条件などの資料を読み込むレベルはまだ時間がかかる。

今回嬉しかったのは、まだしばらく事務所で働いて欲しいと言ってもらえたこと、事務所の領域を広げるのに必要だと言ってもらえたことである。また、プライベートの僕の今後の話もしっかり出来た。ここはとても重要。

4月の展覧会の作業が一段落したら、新しいチーム編成に加わる。幾何学やパラメトリックデザインを中心に扱って、エンジニアリングの新しい領域を模索するため、僕は意匠面からこのチームに加わる。僕以外は数学者、プログラマー、意匠的な感覚を持ったエンジニアといったメンバー。設計プロセスを考える上では非常に興味深いし、僕自身にとってもなかなかおもしろそうだ。建築とか土木とかそういった区分を超えたところで思考が出来るのは楽しい。

そして、こういった内容をどのように公共に開いていくかということを同時に考えようと思う。


2010/03/08

Hot chip

昨日は久しぶりにライブへ。
セントラルの近くにあるABというライブハウス。スタンデイングのちょうどいい大きさの箱で、2階席、3階席もあってゆっくりみるならこっちでみればいい。foyer部分に併設されているバースペースもゆったりとしていて心地いい。こういうメインの機能の周辺部分のつくりかたがヨーロッパはうまいと思う。というより使い方がうまいから自然とうまいつくりかたになっていくといった方がいいかもしれない。

ライブは、もうまさにイギリスという感じ。学生時代をなぜか思い出す。電子音とブリットポップが混じり合ったような、どこか哀愁ある感じ。これをロンドンとかでみたらもっといいかもしれない。

ライブ自体もよかったけれど、とにかく時間を楽しむことが前提にすべてが進行していて、それが心地よかった。昨年後半から僕の中で時間の感覚に変化がでてきているのかも知れない。

2010/03/06

文房具

ゆっくりした週末。だいぶ日が長くなってきている。日差しも暖かく、もうすぐ春がやってくる。ここで生活していると、春を待ち遠しくなる気持ちがよくわかる。冬は薄暗く、お昼を過ぎると、すぐにあたりが真っ暗になる。

今日は日差しが暖かく、快晴。
schleiperへ文房具を買いに行く。僕にはお気に入りの文房具がある。

ぺんてる製図用シャープ グラフ1000 0,5mm 0.7mm。黒のインクペンはステッドラーのLumocolor,0.4mm シャチハタArtline220 0.4mm,0.5mm 色のインクペン Zig Art&Graphic Twin 、定規と三角スケールはuchida カッターは OLFA SILVER。そしてメモ帳は、モールスキンか無印の文庫サイズのメモ帳。消しゴムはMONOLight。ノートはLIFE。

よく見るとほとんど日本製。デザインも気になって選ぶのだけれど、書き心地、使い心地がフィットするもので決めている。僕にとって紙とペンの組み合わせは重要で、これがフィットすると集中できる。

使い心地がよくて、どこでも買えて、普通の感じがいい。自分にあった、自分にフィットすることは、何においても重要なんだと思う。