2010/03/24

校正 ブリュージュ

今日は午後から中心部にあるベルギーの建築雑誌A+の編集部へ。数年前にリニューアルしたこの雑誌なかなかおもしろい。主にベルギーの建築の情報を扱っているのだが、レイアウトも美しいし、インフラから都市、建築まで幅広く紹介している。都市的な視点に比重が置かれているところもいい。当然だが建築から街路、広場、インフラストラクチュアまですべては連続しているし、公共空間なのである。このような雑誌の構成は編集部のスタッフが30代中心と若いことがその理由のようだ。フランス語とオランダ語版しかないのが残念ではあるが、フランス語ならなんとか読むことが出来るので、たまに買っている。都市を扱う雑誌は世界的にも少ない中でなかなかいいポジションだと思う。もちろんないわけではないが、建築からみた都市という視点になりがちなのである。



A+はサブロン広場の近くにある。この界隈は画廊が多く集まっている。アールヌーボー調の建物が多く、なかなか雰囲気もいい。A+が入っている建物の階段、これがなかなかかっこいい。螺旋状の貝殻の内部のような有機的な形状をしている。お昼は食べてからいったが、おいしいサンドイッチ屋さんがあるというので買ってみた。ちょっと高めだが、抜群にうまい。おなかいっぱいだったのにも関わらず、ぺろりと食べてしまった。決して小さくはないのだ。お店の名前はfaire fontaine。店内の雰囲気が特段にいいわけでもなく、知らなかったら立ち寄ろうとはしなかっただろう。とにかくすごくおいしかった。きっと喜ぶだろう人が思い浮かんだので、ベルギーに来た時に一緒に行こうと思う。




ブリュージュへは車で移動。1時間半ほど。郊外にある印刷所で、図面の線の太さ、色校正、文字のチェックを行う。もう何度もチェックしているが、まだ間違いが見つかる。作品集に関わるのは初めてだが、こんなに大変だとは思わなかった。特に今回のものは図版の量が多いこともあるとは思うが。表紙も含めレイアウトに関しては不満な点もあるが、本の内容はすばらしいものになると思う。挿入されているインタビューテキストが興味深い。僕が始めにグラフィックデザイナーに提示した方向は、もう少し抽象的でアーティスティックなレイアウトだったが、最終的にはクラシカルで情報を整理していく方向になっている。初めての作品集としては、きっとこの方向で良かったのだと思う。とにかく情報がぎっしり詰まっていて、値段もリーズナブル。フルカラー200頁。僕が関わったものも多数載っている。

今回思ったのが、この手の本のレイアウトは特に内容を理解していないと難しい面もあるのだと思う。そいいう意味では情報を整理してフォーマット化しないと難しかったのだとも思う。と同時に内容を理解していくと、もう少しおもしろい方向も探れることもわかったので、収穫もたくさんあった。本の構成からレイアウトまで方向性を考えて深く関わったので、いい経験になったと思う。